たぬき

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のたぬきのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

予告編からミステリーやどんでん返しを期待して観てしまうとハズレというか、貧乏くじ引いたみたいになると思います。
ただ素直に「なるほど、少年とイケメンの文通物語ね🤔」と思って観ると大満足できます。

物語の情報量としてはさほど込み入った話ではなく、ドノヴァンとルパート少年の人生が交互に映し出されて、最後にはそれらが統一されていきます。タイトルはジョン・F・ドノヴァンの死と生ですが、彼の描かれなかった生はルパートが引き継ぎ、その不幸な死もルパートの本と記者の取材によって真実が形成されていく…という部分をどう読み取るかで評価が分かれるのでしょうね。結局なんで死んだんよ?というのをハッキリしてほしい人には向きません。というかそういう映画ではない。

興味深かったのは、政治記者である聞き手に青年ルパートが芸能界のゴシップみたいなネタを聞かせている構図です。最初はギスギスして記者の人も聞きたくなさそうでしたが、結局中東やらアフリカの紛争も、欧米のゲイの悩みも、我々が生きているのはこの世界なんだ!全て我々の問題なんだ!という主張はグッときます。単に美しい演出で監督好みのイケメンを堪能する映画ではないです(ただしそういう面もある。ドラン監督は第二のビスコンティかと思いました)。

あと音楽がめちゃくちゃいい。
たぬき

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