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Munchausen(原題)のMarySueのレビュー・感想・評価

Munchausen(原題)(2013年製作の映画)
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代理ミュンヒハウゼン症候群についての話を作っているので参考に観ました。

代理ミュンヒハウゼン症候群って自分の子供なり親なり交際相手なりを傷付けたり、嘘をついたりして病気になるように仕向けて、それを甲斐甲斐しく看病している姿を周りから称賛されて気持ち良くなってる人の精神疾患のことなので、今回のように母親が子供と離れたくないから薬飲ませて看病するのは、別に他人からの称賛を目的にしているわけではなく、単に行き過ぎた愛情を描いたのではないのかと。

虐待は相手を傷つけるのが目的で、代理ミュンヒハウゼン症候群は相手を傷つけることによって傷ついた姿を見た周りからの同情をもらって気持ち良くなること。虐待は相手が死んでも澄ました顔してそうで絶対悪だと感じますが、代理〜は相手が死んだら困るんですよ。もう同情してもらえないから。どちらも自分本位でクズですけど、代理〜の方はもう一つ事件を重ねて描くと、「自分勝手で最低なんだけど、この人の境遇を考えると……うーん、やるせない!」ってなっちゃう。この瞬間が最高。

最初は相手の症状に対して嘘をつくだけだったのが、段々エスカレートしていき、肉体的精神的に傷つけるように。最後は殺すまでいくか、自分の罪に気づいて反省するか。まあ登場人物って最後の選択以外は正しくない方を選んで、最後は正しい方を選ぶ。これが分かりやすいし、スッキリするし、気持ちいいんだよね。でも結局は登場人物の境遇、心境、その選択をした後の影響をキャラクター自身が理解しているか、このキャラクターにそれが出来るのか、とかも考慮するけど。

多少、創作論を書いたところで、今作は参考にはなりませんでしたが、アリ・アスター監督ということで鑑賞後に若干のざわめきが。乗船した後に酔い止め飲んでないことに気づいたみたいな。
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