もやし畑

オオカミの家のもやし畑のレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.3
悪夢の再現

コロニーから逃げたマリアは一軒の家に辿り着く。家の中にいたのは2匹の子豚。マリアは2匹の子豚との共同生活を始めるが、共同生活は悪夢のような様相へと変容していく。

コロニアディグニダから着想を得たらしい。冒頭の動画も実際の映像だったのだろう。
となるとコロニーから逃げたマリアは、ドイツから逃げたシェーファーの比喩、そして豚はチリにいた現地人の比喩ではないか。見下しつつ、自分がこいつらをまともにしてやったと言わんばかりの描写は強烈だ。コロニーからの脱走を描くと同時に、コロニーを作るまでの過程を再現していたというのが私の考察だ。

本作で何より目を見張るのが表現方法だ。壁を這い回るように動く絵、それがやがて立体となり形を成していく様は実に悍ましい。その悍ましさはまさしくコロニーの恐ろしさに直結するし、壁を蠢く顔はまるでコロニーの監視の目のようだ。

不気味なストップモーションとしては、やはりヤンシュヴァンクマイエルを思い出すし、雑にも見える人形の表情からは、クエイ兄弟の影響も感じられる。これらのクリエイターの作品が好きな人、また新しい表現を見たい人や、ホラー好きにはおすすめしたい。
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