東佳苗

オオカミの家の東佳苗のレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.8
生まれ育った環境や遺伝的に植え付けられた空気に違和感を覚えることはとても難しい
一時的に逃げる決意をしたとしても、
何故かコロニー戻ってしまうことが多々ある

洗脳から逃げ切るには"不幸依存症"から脱することと他責にしない精神、そして辛抱強い外部の協力者が必ず必要だと感じる

ストックホルム症候群の状態、愛着が歪んでいる人を根源の恐怖や軽蔑、洗脳から解くこと、もしくはそれを手助けすることは、死ぬまで続くことを覚悟しなければならない

コントロールを失っていくマリアとオオカミの視点がいつしか重なって、被害者が加害者に転じていくことは実はとても容易である

映画という鑑賞体験を通して、オオカミが棲むコロニーに身も心も引き摺り込む擬似体験をさせてくることが確信犯的で、まさしく被害者と加害者の表裏一体の恐ろしさだと思った

この難解過ぎるブラックメルヘンを圧倒的な覚悟と集中力でゴールに到達させた監督二人の狂気的に芸術を信じる気持ちが素晴らし過ぎて、
観た後数日落ち込んだ
東佳苗

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