ゆ

人間失格 太宰治と3人の女たちのゆのレビュー・感想・評価

3.5
史実の太宰治が好きだった為鑑賞。

【史実ファンの方へ】
内容自体は実際の女関係等に沿ったストーリーで、太宰が愛した3人の女性との恋愛模様が描かれている。斜陽やヴィヨンの妻、富嶽百景、そして人間失格といった彼の作品たちを読んでいれば思わずニヤリとしてしまうだろう。
出演はしていないが、志賀直哉が太宰を中々認めない、などのエピソードも出てくるし確か如是我聞の制作シーンもあった

演者が扮して登場する作家は主に太宰治、坂口安吾、三島由紀夫の3名のみ。ルパンでの坂口安吾との対話シーンもファンは必見。

しかし如何せん太宰がただの"女たらしとして描かれているので、彼のファンは観ていて違和感を覚えるかもしれない。「太宰が悩み苦しんだのはそこだけじゃない」。


【作品として】
CGなども駆使した美しい映像は本当に圧巻で見ていて飽きない。何しろ花を使った演出が上手い。演者の表情を花で隠してみせたり、白い雪の中に太宰が吐血した赤だけが色付いて、空から一面、白い花々が振ってくる走馬灯の演出なんかはとにかく痺れた。

ただ、これは演出のひとつなのかもしれないが、俳優さんたちの"演技くささ"が妙に気になった。(普段他の作品での自然な演技を見ているからこそ、セリフの発し方や間の取り方などなんだか気になってしまいました…)

あとやたらと濡れ場が多い(特にふみちゃん、…首なども丸見えに)ので官能映画を目指したのかな?という印象

色々申し上げましたがとにかく映像美が素晴らしくテンポ良く飽きずに観ていられる。劇場で観て損はない。
ゆ