シマクマ

ジョジョ・ラビットのシマクマのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦下のドイツ
ナチス・ドイツに憧れる10歳の少年ジョジョが主人公
彼は、母ロージーと二人暮らしで空想癖があり
アドルフ・ヒトラーにそっくりな容姿の「空想上の人物」アドルフという友人がいた。
そんな彼が青少年集団ヒトラーユーゲントの合宿に参加することになる。

「僕には無理かも」と弱音を吐くジョジョ。そこへアドルフが登場し「お前はひ弱だがナチスへの忠誠心はピカイチだ」と励ます。
合宿に着くと、そこに待っていたのは、戦争で片目を失ったクレンツェンドルフ大尉、
その訓練はハードなものでへとへとになって初日を終える。
その夜、唯一の実在する友達ヨーキーとテントで眠りにつく。

合宿2日目
命令通りにウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から臆病者だとバカにされ「ジョジョ・ラビット」と不名誉なあだ名を付けられる。
堪えられず森の奥へ逃げ出し、泣いていたジョジョ。そこに登場したアドルフから「ウサギは勇敢でずる賢くて強い」と激励される。
元気を取り戻したジョジョは張り切って訓練に戻り、教官の持っていた手榴弾を奪って投げるが
それが木で跳ね返り、自分の近くで大爆破、顔や足に大けがを負ってしまう。

ジョジョのケガを見た母ロージーはユーゲントの事務所へ抗議に行き、
ジョジョはしばらくの間、戦闘訓練から外れクレンツェンドルフ大尉の指導のもと、ビラ貼りの奉仕活動を行うことになる。

その日、帰宅したジョジョは亡くなった姉インゲの部屋で隠し扉を発見する。
恐る恐る扉を開き 奥に入っていくと なんと中にはユダヤ人の少女がいた。
驚き逃げるジョジョ、その後を追う少女は彼を捕まえ、エルサと名乗り、ロージーに招かれここ至った経緯を話す。
エルサは「通報すれば私の協力者だと言うわ。そうしたら全員死刑よ」と脅してきた。

パニックに陥るジョジョ 彼はこの後どうしていくのか・・・という話




個人的にノーマークだった作品だけど
今年のアカデミー賞で6部門ノミネートされ
フィルマークスでの評価もすこぶる高いので興味を持ち鑑賞

内容は、反戦をテーマにしながら万人に受け入れやすいように作られたブラックファンタジーコメディだと思います。

まず
空想の人物アドルフは、コミカルで面白い
ユダヤの女の子エルサは、美少女でお姉さんキャラ
ジョジョの母親ロージーは、明朗で愛する息子を暖かく見守る優しい人物
クレンツェンドルフ大尉は、やさぐれているがどこか憎めない
ジョジョの太った友人ヨーキーは、なんだか可愛らしさが溢れたキャラ

このように登場人物が魅力的で且つコミカルでどこかファンタジー感がある世界
この中でジョジョとエルサが次第に交流を深めていく流れだけど
突如戦争映画という現実も突きつけてきて

このシリアスとコメディの緩急の入れ方が絶妙で上手いなと感じました。

衣装やBGM音楽も素敵でセンスがいいですし
後半シリアスでありながら暖かさも感じる展開で気持ちよく終われます。

万人に受け入れられる上手な作りをした作品でした。
オススメです。







(ここからネタバレ)
映画を観て感じたことを書き並べます

序盤から見せる母親がジョジョの靴紐を結ぶシーンや母親の足元だけを写すシーン
この辺の伏線は上手いなと思いました。

中盤にある最大の衝撃シーンである母親の絞首刑を足元だけ写し
それだけですぐに観客に母親だとわからせ
ジョジョに感情移入出来るようにジョジョと母親との関係を丁寧に描き
また母親がいなくなってしまったのにジョジョがまだ靴紐が結べない
まだ親の助けが必要という描写に感涙しました

ヤサグレ教官のクレンツェンドルフ大尉がジョジョを助ける為に芝居を打つシーンに優しさを感じてまた感涙

ラスト、エルサとジョジョが戦争が終わったことでの安堵感から二人で踊りだすシーンに
こちらも気分が高揚し戦争映画でありながら明るい気分で映画を観終えることが出来ました。
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