ナチス少年のイマジナリーフレンドが、
ヒトラー!!
しかも、タイカ監督自ら演じるヒトラー。
(ユダヤ人のルーツをもち、かつて虐げられていたマオリのルーツも持つ、タイカ・ワイティティが演じるという痛烈な皮肉)
タイカ節炸裂だなぁ!
という、期待と同時に
子供がかわいそうな映画は、今、しんどいなぁ。
という不安を持って映画館に行きました。
結論。
めっちゃおすすめ。
しんどくなかったです。
むしろ、ゆるく笑えるくらいでした。
なのに、後からじんわりくるんです。
映画館の雰囲気も、同じ感じでした。
穏やかに、優しく、少年を見守る感じ。
悲しいシーンも、押しつけがましくないので、ホロリとくる感じ。
なのに、エンドロール。
誰も立ち上がりませんでした。
立ち上がれなかったんじゃないかなぁ。
流れてくる文字を眺めながら、涙があふれてきました。時間差で、きいてくるんです、色々が。
やばい、タイカ・ワイティティ。
本当に、やばい。
俳優陣も、全員、神がかっていて、
愛すべきキャラばかりです。
主人公は愛らしい上に、親友の子はさらに愛らしいし、母親役のスカーレット・ヨハンソンは、アカデミー候補納得の演技だし、サム・ロックウェル…!!あの人、なんなんですかね…!!好きです!!!今は、名前を聞くだけで涙が滲んでくるんですけど…!!
そして、タイカ・ワイティティ。
あの役を演じられるのは、やはり脚本も書いた監督自身にしか無理ですよね。
発する言葉、全てに意味がある。
という、絶賛しかない私の感想でございます。
まあ、タイカ節が駄目な人には、退屈な映画だろうとは思います。もっとドラマティックなものが見たかった人とか。
私には、逆に、このゆるさが
どんなに悲惨な状況であっても
愛とユーモアだけは、我々から奪えない!
という、ワイティティ氏の気概だと思いました。