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霧の中の少女のRのネタバレレビュー・内容・結末

霧の中の少女(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2017年のイタリア/ドイツ/フランスの作品。

監督は長編初監督のドナート・カリシ。

あらすじ

クリスマスシーズンの田舎町アヴェショー。地元の純粋な少女アンナ・ルー(エカテリーナ・ブセミ)あぅが自宅から教会に向かう途中で姿を消した。捜査の指揮を執るために都会からやってきたヴォーゲル警部(トニ・セルビッロ「The Hand of God」)は目撃情報も物証もないこの事件を独自の捜査で展開していく。

U-NEXTにて、面白そうだったので。

原作は同名小説で、なんと原作者自らが監督したという気合の入れよう。

そして、そんな気合の入れようも納得の地味ながら意外性もある作品でした。

お話はあらすじの通り、誘拐事件を追う刑事を描くミステリーなんだけど、まずどうでもいい話からすると、てっきり観る前は主役のヴォーゲル刑事を演じたのはウッチャンが少し入ってる(と俺は思っている)「イースタン・プロミス」などで実に怖い役を演じたアーミン・ミュラー=スタールだと思ってたんだけど、全然違くて、どうやら「北欧の至宝」ことマッツ・ミケルセンならぬ「イタリアの至宝」と呼ばれるトニ・セルビッロと言う俳優さんが主演らしい。どんだけ至宝おんねんw

ただ、やっぱ至宝と呼ばれるだけあって、出てくるだけでこいつぁ、ただもんじゃねぇぜ!って感じがするし聞き込みの最中、急に外に出て手を叩く不審な動きをしてなんなんだと思ったら、それをすることで見ず知らずの人がどれだけそれに関心を持つか=現場でどれだけ目撃者が現れる可能性があるかを測るためというなかなかのベテランっぷりを発揮したりもする。

ただ、そんなベテラン刑事というからには地道に目撃証言を取り、犯人を追い詰めるのかと思いきや、本作のこのヴォーゲル刑事の捜査手法が「独自」たる所以はメディア戦略を駆使して捜査を進める点。

なので、懇意にしている女記者に「15分」早く情報を開示することで警察側に有意な報道をすることを条件づけたりと見た目に反してなかなかやりかたが狡猾。

で、どうやらその手法で過去に執り行った事件で誤認逮捕をしてしまったという黒歴史があることで話はより思っても見ない方向へ行く。

捜査の中で捜査線上に浮かび上がったのは高校で教鞭を執るマルティーニ教授(アレッシオ・ボーニ「ヤーラ」)。学校では退屈な授業をして、家では年頃の娘と上手くいっていない父親でもある、言ってしまえばどこにでもいる普通のお父さんなんだけど、そんなヴォーゲルにターゲットにされてしまったからさぁ大変!!

学校では生徒に冷たい目で見られるし、家にはマスコミが押し寄せて、もはや既に犯人扱い。ただ、序盤は事態の変化に戸惑うマルティーニの姿があったり、無実を証明しようと奔走するなど、このマルティーニが本当に犯人なのか定かではない感じで描かれる。

ただ、このマルティーニ、意味深に自らの手をナイフで傷をつけたり、学校の生徒の携帯に離れたところからメッセージを送って反応を見るなど、あれ、やっぱ犯人じゃね?という感じだし、ヴォーゲルはヴォーゲルでその捜査手法と脛に傷を持つ過去があるしなかなか信用ならない感じでで「真実の行方」は果たして?という展開が続くんだけど、そんな中、ベテランの記者から正体不明の連続誘拐魔「霧の男」ではないかというタレコミがヴォーゲルのもとに入ったことで事態はより混乱の渦に巻き込まれていく!

で、まぁ事件は一悶着二悶着ありつつ解決するんだけど、ポイントなのは事件はすでに過去のものであり、精神科医のアウグスト(ジャン・レノ「ドアマン」)とどうやらすでに犯人と「何かあった」らしいヴォーゲルとの対話で展開していくというところ。

で、お話の「どんでん返し」の部分なんだけど、まぁなんとなーく想像がついて「そうなのかな…」と思っていると案の定だったw

ただ、まぁなるほど!上手い!という感じでこれはなかなか見応えのあるミステリーと言える作品であるなのではないかな?観てない人は是非に!
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