真田ピロシキ

ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

4.0
風邪引いて午後休みを取り気楽に見れる映画は何かないかなと探してたらこれが目に入った。90分程度なのも良い。過去作は見ているがずっと前なのでほぼ忘れてる。しかしこれが最高に面白い。

最初のうちは落ちぶれてもまだイケオジ感のあったキアヌ演じるテッドが世界を救う音楽をパクるため未来の自分達に会う度にどんどん相棒のビル同様にみっともない人間になっていくのが最高に笑える。突然現れるデイヴ・グロール。フーファイターズならそこまでの曲を作るという評価なのね(笑)まるで期待外れな2人を抹殺して時空の崩壊を防ごうという目的で(どういう根拠だ)差し向けられる殺人ロボット デニス・ケイレブ・マッコイのチープかつ間抜けさも爆笑しかない。刑務所に入れられてムキムキになった時代のビルとテッド及び囚人にリンチされて「惨め」と呻く姿と言ったら。

全然ダメな父親2人の力になろうと両者の娘が時代を駆け回り、ジミヘン、ルイ・アームストロング、モーツァルトなど様々なミュージシャンを集めてバンドに入れるのは1作目のオマージュよね。この娘2人が「24歳にもなって実家暮らし」と言われる若い頃の父親と同じボンクラなのも良い。しかし可愛い。そして時空と現実を救うのはかつてのレジェンドだった父親達ではなく、父の作った音楽をずっと愛し応援し続け本人が意識しないままにサンプリングして曲を作っていた彼女達だったというのが面白いじゃないですか。アームストロングに影響を受けたジミヘンの下りもここにかかってきまして。父親達は子供を後押しする存在。結構真面目に次世代に未来を託す物語になってなくないですか?同じ長いスパンでの続編でも『トップガン マーヴェリック』よりずっと良いよ。それとビルもテッドも中世から連れてきたお姫様の妻に対して「俺もテッド(ビル)も君を愛している」と言うの素敵じゃない?互いの娘も同様に大切に思っていて、この裏表のない友情で結ばれた家族の形は尊い。家族愛の形を更新する。

クライマックスのライブシーンはもうアガりっ放し。「世界を救ったのは曲じゃない。みんなが力を合わせたこと。」という音楽によるポジティブな連帯感を打ち出すメッセージも今の暗い時代素直に受け取りたくなります。7月からギターを弾き始めていることもあって非常にノレる映画でした。