このレビューはネタバレを含みます
新海誠の反骨精神を感じた。
本来このくらい厨二溢れる感性が光る作品が好きな人なんだろうなあ…
金が手に入ったし東京ぶっ壊すか！！という気概あふれる作品。
エンタメとして最高級のバランスを取る傑作『君の名は』を作るまでのに一体なにを失って何を得たんだろうか？とかどうでもいい事を考えてしまう。
いつもどおり天才的に絵面がキレイ、
しかし若者の主張感が前回以上に強く青臭さをすごい。それが新海誠らしいのだけど、イマイチ頷けないのはその青臭さに註釈がついてないことかな。註釈てか客観視で、他作品もよく考えたら客観視の目線は薄めなんだけど、君の名はは抑圧する大人や運命の存在が、秒速では残酷な時間の流れがいい感じにその働きをしてたけど、本作は警察と主人公が働く会社の社長がその註釈役。
物語のポイントにもなるんだけど、社長を含めて主人公の周りにいるのは世間的に『半端者』とジャッジされるだろう人達。それゆえにはみ出し者の家出少年少女を救うんだけど、つまり世間的にはマトモな良識を持たない人に囲まれて東京で成長した主人公が自分なりに必死にヒロインを守ろうとして東京を海に沈めるという、これはほとんどディストランションベイビーズ（訂正コインロッカーベイビーズでした）の世界線なのだ。教育の機会不平等が招いた破壊の落とし子のお話じゃね。
ラブホテルのシーンもなんとなく彷彿とさせる…このへんの反骨精神は非常に好み。
なんだけどそれを新海誠印の綺麗な絵面に収めると全体的に『よきこと』感が強過ぎて青臭さが残るというね…
むずかしいですが、そんなこんなで僕は少しハマらなかったね。
そーはいいつつ全然たのしめたけど！
いっそのことこの決断で洪水で死んでる人とかまでちゃんと映す位のえぐみがあればだいぶ個人的に評価高かったんだけど、それは怖いよね。
