アーリー

天気の子のアーリーのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.7
2023.512

3回目ぐらいかな観るのは。観れば観るほどきつくなっていってる気がする。

かなり攻めた作品。子供が社会に対して反抗する時期の妄想をそのまま映画にしましたみたいな。銃の存在がいかにも。ところどころさむい。ちょっとずつ大人になってるからなのか。別にいいやんで終わらせられてた所が、どんどん引っかかるようになってる。特に大人組。警察にあんな反抗して大丈夫なんか。前科つきそうな感じするけど。銃が出てくるのも妄想っぽい。まぁそんなこと言い出すとアニメ全般を批判しちゃってるかもしれんけど。

世界か、大切な人か。どちらかを選ばないといけない時どうするやろう。世界はちょっと言い過ぎで、被害を被るのは東京だけやったけど、それでも結構えぐい損害が起きてる。水没で家を無くした人はどうなったのか。確実に住む場所が足りてないはず。仕事とか生活があったやろうに。みんな何も知らないくせにってほだかは言うけど、ほだかこそ他の人間の生活を何も考えていない。僕らは大丈夫だって言って終わるけど、いつか被害を受けた人たちの声を聞いた時、それを受け止めきれるのか。死んだ人はおらんと思うから、まだ大丈夫かもしれんけど。ただ本当に大切な人がいて、ひなみたいな境遇にもし陥ったとしたら、どうするかはわからん。どっちにしろ選ぶ人は後悔しそう。その時赤の他人全員から称賛されるのか、もしくは大切な人1人だけと一緒に支え合えるのか。どちらがいいんやろう。大切な人を選ぶということが凄いロマンチックで凄い良いことに思えるのが子供で、そのことがどんどん現実的じゃないという見方になっていくのが大人やとしたら、この結末にした新海誠は凄い。この時で46歳ぐらい。その年齢でこんなにも若いノリの作品を作れる。表現者っていうのはそういうもんなんかな。「君の名は。」で特に若年層のファンを獲得したはずやから、その世代に向けての作品作りやったんかも。自分も40代になった時、この作品を観てどう思うのか。

「雲の向こう〜」とか「秒速5センチメートル」で、初恋とか恋愛は上手くいかないということを表現してきた新海誠。だいたい中高生の頃は恋愛に対してそんな達観してる人は少ないと思う。20代になって少し大人の世界に触れることで、今までの自分は子供やったと考えたくなる。背伸びをしてしまう。確かにそうなんやけど、でもそういう子供の時の感性は大事やったと思う時が来るんやろうな。それが新海誠は40代入ってからやったんかな。

相変わらず出てくる景色は色使いが本当に綺麗。今ではこれが新海誠らしさになってる。その写実的な絵とファンタジーな話の展開が凄い違和感。その違和感は狙ってるような気もする。独特な魅力がある。だからこそ賛否両論になりそう。あとはRADの曲。曲そのものとか、かけかたは前作の方が好きやったけど、グランドエスケープだけは前作を超えた。ああいう劇的で、合唱みたいな曲に凄い弱い。簡単に心掴まれる。

良いところはちゃんと良いからこの評価。19歳の時の自分より下がったけど、それはそれでいい経験。
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