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2分の1の魔法のarchのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
2.5
全力少年の起用は完全にミスですね…ということはひとまず置いといて。

魔法を忘れた世界は我々が住む世界のように機械に頼り世界になってしまい、エルフやマンティコア等の神秘生物は人と変わらなく生活していた。そんな世界で、父親を幼い頃に失った兄弟が弟の誕生日に父からのプレゼントが届く。そこには失われたはずの魔法を使える杖が。父を蘇らせようとするが…。なんと半分しか復活しないのだった。完全に復活させるまでのタイムリミットは明日。兄弟は父を復活させるために旅にでる、という物語。

小さい頃に父を失った兄弟が数年越しに父の影を追い、絆を深めて成長していく。それは一種の通過儀礼で、旅の中で成長していく様はこれぞピクサーという話運びで退屈せずに見ることが出来た。
しかし、よく考えると違和感はかなりある。内気な少年の成長を主軸にしているが、そもそもそこには父や兄弟の存在は関係なく、それはとても個人的な問題である。しかし何故か父の影を追ったり、兄弟との絆を深めることが成長に必要なように描かれている気がする。確かに旅の中で成長しているのだと捉えられるが、兄弟との関係にフューチャーしすぎて正直霧散してないか。そもそも兄との関係にそこまで問題があったように思えない。不仲な兄弟が一丸となって父と会おうとする、という物語の方が筋が通ると思うのだが。

また魔法という概念の扱い方。勇気の象徴であり、彼らが失ったものが本作の魔法であり、本作は魔法を取り戻すことでハッピーエンドを迎える。だが魔法を取り戻してたことは幸せなのか。それは人間や動物が本来忘れた野生を取り戻すことと同義で必ずしも正しいとは言えない。ならば本作に限ってだけでもいいから魔法を取り戻すことがいかに良い事なのかを描くべきだったと思う。

やはりどこか腑に落ちない作品でした
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