まいとん

火口のふたりのまいとんのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
3.0
1時間40分くらいは面白く見ました
が、ラスト10分間でとてもガッカリしてしまいました
どうしてこんなオチなのか…

いとこ同士の性愛がテーマでグイグイ見せていく作品ですが裏側に現代に生きる青年たちが慢性的な不況の中で苦しんでいる様子が描かれています
保育士の資格を取り就職も決まっていたヒロインですが、いとことの恋に破れ、地元に帰り不安定な労働環境のなか震災にあい、子宮筋腫を患うなど難しい状況に置かれていますが、自衛官の男と結婚を決めます
その後いとことの恋愛関係が復活するのですが、突然やってくるという富士山の噴火を前にして
自分は子供を産む以外にすることがない
と言うのです
突然強い違和感を持ちました
もう仕事もしないし何にも興味が無いし自分の生活をしていくという視点が全く無いようなのです
さらっと言ってしまうのですが、ひとりの女性として人間としてどうなのか…
突然作り物のように思えてしまいました
(あるいは日本という国が女性をこのような状況に置いているという批評なのでしょうか…)

その彼女がいとこの恋人に、考えてばかりいるのはやめて自分の人生を生きろと言うのです
人物が分裂しているように見えてしまいました
(自分の人生を生きることはヒロインに取っても大事なような気がするのですが)
ラストにきて女性蔑視と男性の女の子はこうあって欲しいという願望が透けて見えてきて気持ち悪くなってしまいました

いとこの恋愛を正当化するヒロインのセリフなどはよく描かれていて面白く見ていたのですが、オチのガッカリ感がなおさら残念でした

ただ日本社会を男女の性愛の視点から描くという制作者の意図は成功してると思います
娯楽映画とは違う地平へ連れて行ってくれます