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シークレット・ヴォイスのslowのレビュー・感想・評価

シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)
4.4
一度倒れ、進み出したドミノは歯止めがきかない。先頭に迫るその気配を背に感じながら、尽きぬよう目の前に新たなわたしを立て続ける。死ぬために生きることは真っ当なこと。ただ、生きるために死に追われているとは思いたくはない。その一心で、ひたすらに立て続ける。わたしは、わたしの墓標を立て続けている。

以前から引き合いに出されるアルモドバルに加え、フランソワ・オゾンやファティ・アキンのような、美しく痛々しい繊細な因縁を見届け解き放つ奥深い物語だった。要するに凄い見応え。そして、やはり日本を感じさせる箇所があったりするのが嬉しい。あの検索サイトには笑ってしまった。何かになりたいという願いや、そこにある救い。それは前作『マジカルガール』とも繋がる部分かも。
ヴィオレタの数分間に及ぶ熱演、素晴らしい目。クリスティアン・ムンジウなんかが好みそうな長回しはあの瞬間のためだったのかと息を飲む。少数派だとは思うけれど、これは前作よりも刺さったかもしれない。
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