takanoひねもすのたり

ザ・マミーのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ザ・マミー(2017年製作の映画)
3.1
オカルトホラーだと思ってみたらメキシコのストリートチルドレンの実情に迫るような内容で、メ……メキシコ……と、暗鬱になってしまったオカルトというよりダークファンタジーな作品。

11歳の少女エストレイヤの母はギャングに拉致られたまま帰ってこない。
同様に親を亡くし(全員がギャングによる襲撃で親が死亡)たストリートチルドレンのリーダー・シャイネ達と行動を共にするようになる。
そして彼女の耳には、いないはずの母の声が聞えてきて危険を知らせるのだった……。

10歳に満たない子供が「警察はあてにならない」と達観したことを口にする……社会に期待せず、大人を信用せず、生き残るために信じるのは自分と仲間だけ……
住む家も守ってくれる大人もお金も日々の食事も自分たちで手に入れ(犯罪行為)生き延びるために必死、そして親を殺され心の何処かに傷を抱える少年たち。

気軽くオカルトホラーを観てるつもりだったこっちは、過酷な状況の少年たちの生活や死生観が展開する物語を喰らって真顔。

ラストのエストレイヤがシャイネにライターを渡すシーンなんか、哀しいけど誰も救われない、そしてストリートチルドレンの生き延びる難しさが迫ってきて、平和ボケた自分には沈黙するしかなく。予想外に重かった。

唐突に本物のトラが出てきた……トラきれい。