アキ

アンノウン・ボディーズのアキのレビュー・感想・評価

アンノウン・ボディーズ(2017年製作の映画)
3.1
始まって5分の段階で○が犯人だろと確信したうえ、それを支持するように話の途上で続々と○犯人説が画で援用されたりするから、売りであるところの二転三転する犯人像も実のところ意表をつくというよりは苦肉のブラフな色合いが濃ゆくなる。よもや4転目のハッタリなんて、いやそんなはずはないよねと苦笑の至りで、事実その後は当初僕が推察したとうりに○が犯人として確定する。徒労…言わば2時間うろうろした結果が元いた場所に戻ってきたようなアホらしさと昇りのエスカレーターを上から下るから前進しない歯がゆさともどかしさとせちがらさだよ。しんど。
決して駄作ではないんだけどね、乾いた空気感とかとても魅力的で、血と肉にも確かな生々しさがあった。ただ作の中心軸をフーダニットにした時点で此作の敗北は決したようなもので、この種のジャンルはもはや末期の飽和状態であるからして、どれだけ凝った転じ方を試みようとも、古典的な進行ではどうあってもキャラや状況から分かっちゃう。よっていかに話の気品を高めようとも最後は常に火サスの貧しさが前面に割って入ってくるんだ。「Search サーチ」のような新機軸なクーデターでもない限りこのジャンルでの勝利は難しいよね。
原作は割と高名なようだから、もしかしたら違う角度から攻めてるかもしれないけど。
アキ

アキ