アキ

アレックスのアキのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
2.9
それこそ20年の時を経て再鑑賞したわけだが、なんだろね、まぁ、オリジナルはメメントみたくに終わりからの再生だったが、本作は通常順列再生で、モニカベルッチがいたぶられる点から加速度を増して狂っていってラストはみさかいなく赤の他人をボコボコして救いなく終わる。

普通に撮ったら何の面白みもないお話だ、それをどうやって盛り上げていくかにギャスパーノエの才能が試される。その意味ではトンネルの怪しげなぼやけたワインカラーや背景でズンズンなり続ける重低音、そしてまた頻繁にくるくる回転するキャメラなど、らしさ?はあるといえばあるし、トンネルの件のシーケンスで、背景に男が現れるも、件の行為をみるや、そそくさと逃げてくあたりも遊び?が効いていい。ある意味ではそうした遊びがなければ、本作89分はちょいとばかし単調で、人によっては割と長いセ〇シーヴィデオに映ることだろう。

で、「時は全てを破壊する」ようだ。どうやらギャスパーノエはこれを言いたかったようだが、よく分からない。いや言ってる意味は分かるんだけど、その意味と映画の内容がリンクしないというか、破壊行為のバリエーションは見て取れるが、それが映画時間の経過とどう対応しているのだろう。単なるキャッチコピーととるなら鮮烈な響きがあって洒落てるけど、僕には納豆ぶっかけた白米をたらふく口の中にほうりこんだあと「時は全てを破壊する」と黒地に白抜き文字をフェードで浮かび上がらせるのと同レベルと感じる。つまりはやっぱりよく分からない。
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