Mariko

ジェロニモのMarikoのレビュー・感想・評価

ジェロニモ(1993年製作の映画)
4.0
初見、というか存在すら知らなかった今作💦
アメリカ先住民アパッチ族の伝説の戦士ジェロニモの闘争〜投降を描いたウォルター・ヒル監督による西部劇。
子供の頃は「大酋長」ジェロニモみたいな表現をよく見かけた気がするけれど、彼は部族の酋長ではなく指導者ですらない、ということを今回初めて知った💦そもそもネイティブアメリカンには「部族長」のような者はいないらしい。いや、、米国史について何も知らなさすぎる。

というわけで、史実がどうかはさておき今作はそのジェロニモも、対する米陸軍側の(ちゃんと描かれている)軍人も相手に敬意を払う人格者として描かれている。まあ社会的にそこをどう見るかという点で見解は分かれるところだとは思うけれど、ドラマとしてとてもおもしろかった。評価高くないみたいだけど、これは名作。

ジェロニモ役にチェロキー族のウェス・ステューディ、アパッチ族から敬意を込めて”ナンタンルパン”と呼ばれる軍の准将にジーン・ハックマン、彼の旧友で手練の偵察隊長にロバート・デュヴァル、ジェロニモに理解を示し友情で結ばれていくゲイトウッド中尉にジェイソン・パトリック、そして語り手でもありこの中尉の下でアパッチ族との関係の在りようを学んでいくデイヴィス少尉に若きマット・デイモン。これらがどれも適材適所で、地味ながら実に見応えあるストーリーになっていた。
特に、陸軍に入ったばかりの少尉の視点で話が進んでいくことで先住民族側にも入植者側にも寄らない中立的な描き方になっているのがとても良いし、この淡々とした語りが上手い。しかも最初の「育ちの良い何も知らない若き軍人」が、中尉や軍の斥候を務めるアパッチ族やジェロニモと接する中で顔つきが変わっていくさまが見事、マット・デイモン若い頃から流石!
あと、一応この人が主人公なの?なジェイソン・パトリックがあんまりイメージが固定化されてない人なのもよかった。
個人的には、嬉しかったのはやっぱりロバート・デュヴァル。ジーン・ハックマンと無言で頷き合う場面はこの二人ならでは。

音楽も地味に馴染んでいていいなあと思ったらライ・クーダーだった!
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