スガシュウヘイ

家族ゲームのスガシュウヘイのネタバレレビュー・内容・結末

家族ゲーム(1983年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

賛否分かれる映画ですが、私は好き。私の中では、森田監督ベスト1かつ松田優作ベスト1です、この映画。


本作が唯一無二なのは、横一列に並んだダイニングテーブル。家族はいつも横一列に並んでご飯を食べる。こんなの他のどの映画でも見たことがない。そしてこの配置が、不思議な違和感を作り出す。



家庭教師の松田優作は、なぜかいつも船でやってくる。飲み物はワインだろうが紅茶だろうが一気飲み。手には植物図鑑を直で持つ。そしてそのことを誰も突っ込まない、というのが、また違和感。


音楽が皆無、というのも変だ。映画なんだから、心のどこかで音楽を期待してしまう。
ちょっと変な例えだが、サッカーの試合を見に行って、選手がゴールを決めた時、リプレイを見られない違和感に似ている、と思った。いつもテレビで見てるときはリプレイがあるのに、今日はない。当たり前なんだけど。
いつもあるものがない、という違和感。


とにかく違和感だらけなのだ。


さて、ラストシーン。
日本映画史に残るワンシーンを挙げよ、といわれてこの『家族ゲーム』と答える人は、まずいないだろうが、私は本作のラストと答えたい。
5人が横一列に並んでただ飯を食っている様を、固定カメラでずっと映しているだけ。大して中身のある会話もしない。ところが、だんだんスパゲティを掴んで投げたり、マヨネーズを噴射したり、ワインを撒き散らしたりと、とんでもない光景になっていく。意味がわからない。それでも中身のない会話は続く。
松田優作が父を殴り、母を手刀で落とし、息子二人を気絶させ、机をひっくり返して退場。
え?え?え?


それで、エンドロール前では「なんか今日ヘリコプターの音やけに大きいわね」、という意味深すぎるラスト。ヘリコプター?


これってレビューでいくら詳細に書いたところで、実際の映像を見ない限りはネタバレにならないと思いますので、ネタバレにしませんが、見たことない方は、是非この謎すぎるラストを目撃してほしいと思います。


公開:1983年
監督:森田芳光
出演:松田優作
受賞:キネマ旬報ベストテン第1位ほか。