TAK44マグナム

ブラッドショットのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ブラッドショット(2020年製作の映画)
3.1
つまりはショッカーの怪人みたいな?


ワイスピ番長ことヴィン・ディーゼル主演のアメコミ原作もの。
マーベルならまだ有名どころは分かりますが、アメコミには疎いのでブラッドショットを知りませんでした。
アメリカのアメコミファンの間では有名なヒーローなんですね。

当初の監督はスタントマン出身で「ジョン・ウィック」シリーズを手掛けたデヴィッド・リーチとチャド・スタエルスキでしたが途中降板しています。
本作を観た感じですと、もし監督がそのままだったら大分違った仕上がりになったのではないかな?と思いました。
もっと泥臭くも斬新なアクションが期待できたかと想像できるのですが、いざ完成した作品を観ると、クライマックスのエレベーターシャフトでの「空中戦」以外はところどころの絵面は格好いいものの既視感も強くてあまりノレず、個人的に残念でした。
昨今はアクションも行き着くところまでいってしまっていて、CGに頼りすぎると余計に膝を打つようなことが無くなっているような気がします。
CG多用なら余程バカバカしいことに特化するか、あとはトム・クルーズやジャッキーみたいに生身にこだわるかして「おお!」と思わず身を乗り出してしまうぐらいのモノを見せてくれないと正直厳しい。

また設定についても、ナノテクノロジー万能論が幅を利かせ過ぎていて、身体能力の向上どころかネット経由であらゆるデータも取得できる・・ってのも既視感が強くて。
「ターミネーター/新起動ジェニシス」でも同じようなの見たよね。
もしかしたらアメコミヒーローとしては斬新だったのかもしれませんが、映画となると他作品と似たり寄ったりになるのは鬼門でしょう。
本作ならではの個性を発揮できないと、たくさん作られるアクション映画の沼に埋没してオシマイになってしまいます。

驚異的な治癒能力やパワーを備えた改造人間にされた主人公が復讐に燃えるが事件には裏があった・・・というお話は良いとして(プロローグだからか)内向きでスケール感がなく、些か閉塞的。
近作だと「ジェミニマン」と同じようなテイストというか匂いがしました。
とりあえず面白そうな設定の近未来SFヒーローを撮ってみたよ、みたいな深みの無い匂い(汗)
アクションもヴィン・ディーゼルの体躯を活かして重量感をだそうとしているのは分かりますが、いかんせんモサモサした感が拭えず。
不死身のヴィン・ディーゼルがカチコミかけるってだけでワクワクしますけれど、そのワクワクに100%応えてくれる撮り方をしているかというと少し疑問。
素人が言うのは痴がましいのは分かりますが、もう少しくだけたというか(個人的にこの手の作品に望むのは)バカっぽい魅せ方をして欲しかったかな。
たぶんエレベーターシャフトでのバトルが1番の見どころなのでしょうが、敵キャラにいまいち華がないのもあってか、ちょっと盛り上がりに欠けました。
予備知識なしで観たのもあって、せっかく出ているガイ・ピアースも最初誰だか分かりませんでしたし・・・(汗)
アクションシーン無いし。
一方、ヒロイン役のエイザ・ゴンザレスのスイミングシーンや少しだけ披露してくれる格闘シーンは中々の眼福もの。
優雅且つシャープな動きが良かったけれど、あれはスタントウーマンの仕事なのかな?


いま、兵士が戦場で傷ついた箇所を「強化」する、まるでサイボーグ兵士を生み出すようなプロジェクトが実際にあるらしいですが、そういった技術の少し先をいっている研究については興味深かったです。
ギア装着でパワーアップしたり、電動バイク等は格好よかった。
網膜でもゴーグル等の補助で視神経に直接映像を伝えて見える・・・
こういうの日本のアニメによくあるな、とも思いましたね。
というか、これだとそもそも「仮面ライダーTHE FIRST」みたいな話だぞ(苦笑)


コロナ禍での公開ということもあり、結果的に赤字という話ではありますが、もし続編があるなら監督のセンス次第でもっと面白く化けるポテンシャルは感じられました。
それだけに惜しい。
とりあえずブルーレイ買うなら、そのうち発売されるであろう廉価版でじゅうぶんだったな・・・と(汗)
あと、主人公役をオファーされたというジャレッド・レト版も観てみたかった。
ヴィン・ディーゼルとは180度違う雰囲気になったんじゃないでしょうか。


最後に何よりも本作で驚いたのは、主人公の奥さん役を演じたタルラ・ライリーという女優さんが、あのスペースXのイーロン・マスクの元奥さんだったって事でした(苦笑)
イーロン・マスクって女優さんと結婚していたんだ。知りませんでしたが、やはり魅力的な美人さんですしね。
それにしても、イーロン・マスクの元奥さんのオッパイをヴィン・ディーゼルがガン見したんだろうと思うと、それだけで感慨深いですなぁ〜(苦笑)!


セル・ブルーレイにて