回想シーンでご飯3杯いける

台風家族の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

台風家族(2019年製作の映画)
2.0
稲垣吾郎の「半世界」、香取慎吾の「凪待ち」、そして草彅剛の本作「台風家族」と、元SMAPのメンバーが主役を務める映画をこれでようやく全て見終えた。何よりも凄いのが、3作全て駄目な中年男が主人公である事。ジャニーズ時代では出来なかった役どころだとも言えるし、イメージ低下のリスクを伴うものの、逆に言えば役者としての力量を発揮できる役どころでもあり、ジャニーズに残存した木村拓哉がやらないであろう仕事とも言える。そこに挑戦した3人の勇気は素晴らしいし、役者としては3作品とも見事な演技を披露していると思う。

しかし一方で、映画は俳優の力だけでではなく、監督を始めとする裏方を含めた総合力によって生み出される物である。この3作品を観ていると、そこの差が残酷なほどに出たとも思う。

正直、3作品の中でこの「台風家族」の出来が最も厳しい。独立して各々の人生を歩んでいた4人兄弟が葬式をきっかけに集まり、遺産相続で喧嘩が白熱。その夜に台風が上陸し、雨降って地固まる、、、という、既視感ありまくりのプロット。本作は12年もの間温められてきた脚本の映像化らしいのだが、温めすぎて旬を過ぎてしまったのではないだろうか。要は脚本のテイストが古いのだ。

「1本満足」を思わせる草彅のダンスシーンや、MEGUMI & 若葉竜也のバカップルぶりも悪くない。評判の悪い白骨だって、漫画のような愛らしさを感じる。ただ、それは20~30年前を懐かしむような、苦笑を交えた愛着でしかない。