税関で働く真面目で物静かなティナは嗅覚で悪者を見つける能力がある。
どんな臭いがするのだろうか。
酒瓶、児童ポルノのsdカードなど、彼女の才能はそこで遺憾無く発揮されていた。
ボーダーというタイトルから一体なんのボーダーライン?などと思っていたけど、かなり深い内容だった。
ホラーなのかダークファンタジーなのかぞわぞわしながらも見終わった後は「人間とは?」を考えずにはいられない。
以下あらすじ覚書のためネタバレあり↓↓↓↓
自分の嗅覚を頼りに税関で働くティナ。
彼女の嗅覚は善良そうな男の所持品である携帯に児童ポルノがあることまで突き止める。
そんなティナの前にヴォーレというミステリアスな男性がやってくる。
ヴォーレからも悪い臭いを感じ取ったティナであったが、所持品からは何も見つからなかった為、男性スタッフに頼み身体検査をさせる。
別室から出てきたスタッフはティナに何も見つからなかったことと身体検査はティナがするべきだったと伝える。
何故なら彼には男性器が無く女性器があったからだと。
体格も大きく無精髭を蓄えたヴォーレにティナは悪いことをしたと素直に謝る。
その後もヴォーレとティナは度々顔を合わせる。
ティナには共に暮らしているローランドという男性がいたが、恋人というわけでも無くティナ自身父親には「1人で暮らしたくないから一緒にいるだけ」と説明している。
ティナの家族は施設に入所している父親だけ。家にはローランドの飼う大型犬もいるが常にティナは吠えられているしローランドとも決して良好な関係とは言えない。
次第にヴォーレに惹かれていくティナはヴォーレを自分の家に住まわせることにした。
ある日ヴォーレと共に森に入ったティナはヴォーレから自分達(ヴォーレとティナ)は人間ではなくトロールだと告白される。
トロールは人間とは逆の性器があることやティナに尻尾の跡があることなどを告げられ初めは戸惑ったティナだったが、周りに馴染めず人と違うことに思い悩み続けていたティナはそんな違和感から解放されてヴォーレと交わる。
ちなみにこのシーン、思いっきりぼかしが入っているのでティナに男性器があることやヴォーレにはそれがないことなど全く分からず、2人の動きからそれを察することしかでしない。
ヴォーレとの関係を築きながら仕事では警察の要請で児童ポルノ摘発の要請を受けていた。
ここでもティナの嗅覚を頼りに児童ポルノ犯罪者を逮捕するまでに至る。
しかし、一体どこでポルノとして扱う子供(おそらく赤ちゃん)を手に入れているのか分からずじまいだった。
が、またしてもティナの嗅覚にてヴォーレがこの件に絡んでいることを突き止める。
ヴォーレは定期的に自らの身体からヒイシットと呼ばれる人間の赤ちゃんに似た生き物を産み落としていた。それは人間の赤ちゃんによく似ているが、ぶよぶよとして頭が大きい割に手足は未熟に見え、細く小さい。
ヴォーレは人の目を盗みながら目星をつけた赤ちゃんをヒイシットと入れ替え、その赤ちゃんを犯罪者に売り渡していたのだった。
その事実を知ったティナは激昂してヴォーレを責める。
ヴォーレは先祖の代から人間には虐げられてきたのでその復讐をしている、人間が破滅するのを促しているんだと悪びれる様子もなくティナに告げ、ティナにも自分と共にトロールとして暮らそうと言うのだった。
そんなことがあった後ティナの友人宅に救急車が止まっているのを発見し、覗いてみると「郵便を取りに行って戻っただけなのに自分の赤ちゃんが…」と憔悴しきった友人と救急隊員に囲まれたヒイシットによく似た赤ちゃんがいたのだった。
ショックを受け自宅へ帰ったティナはヴォーレからの置き手紙を見つける。
「君は人間ではない。フェリーで会わない?」
ティナはフェリーでヴォーレと再会する。
ヴォーレはティナが来てくれたことを喜び人間に復讐することや共に種を残し繁栄を遂げようとティナを誘う。
しかしティナは
残酷であることに意味を見出せない。
人を傷つけたくない。
…これって人間っぽい…?と伝える。
そこで隠れていた警察にヴォーレは取り押さえられるが間一髪で海へ飛び込み逃亡してしまったのだった。
ティナが家へ戻ると施設にいるはずの父親がティナを待っていた。
ティナの生い立ちを話しに来たのだった。
父親はトロールたちを収容する施設で働いていた。そこでの扱いは酷いものだったと。
そしてティナの実際の両親からティナを預かることになったと。
数日後ティナの家の前に小包が置かれていた。
箱を開けてみると尻尾の生えたトロールの赤ちゃんがいたのだった。
戸惑いつつ抱き上げるティナが少しだけ微笑んで物語は終わる。
人間として育ったティナと人間を敵対視して育ったヴォーレ。
人間側にいたティナは人を傷つけたくは無いし残酷さに意味など持ちたくないのだ。
これ、人間って社会が作るって話しをしてる、というか人たるや、人とはって話なんじゃないかなぁと。