RYUYA

よこがおのRYUYAのレビュー・感想・評価

よこがお(2019年製作の映画)
3.5
あるインタビューで北野武が男の映画ばかり撮っている事を問われ「自分はセックスの匂いというのが嫌いで...なんと言うか、それまでの男女の会話がすべて前戯に聞こえる気がしてしょうがない」って答えてたんだけど、『よこがお』はある意味前戯だらけの映画だなと。2回ある動物園のシーンが顕著だったけど、この映画は"予感"に満ちている。不穏な予感。勘のいい観客なら池松壮亮×中年女性でのちに起こるシーンが浮かぶし、市川実日子なんか存在そのものが(大変失礼ながら)不穏であるし。そうゆう意味でもキャスティングは確信犯的に大成功してるし、ジグザグな時系列も上手い。カメラの画角や動きの無さが非常に日本らしからぬ、フランス、ベルギーあたりの質素かつ不安を煽る雰囲気があって『さようなら』『淵に立つ』同様に深田晃司の作家性を滲み出しているのだと思う。こうゆう映画を観ると自然とキネマ旬報的な論評口調になる自分のキショさにゾッとするが、それ込みでこの映画の術中にハマってしまっているのだろう。一回『悪魔の毒毒モンスター』でも観て口を濯ごう。

北野武と反して、前戯だらけのこの映画だが、観た後に思うのは「この監督もたけしと同じで無茶苦茶オンナ嫌いなんだろうなぁ...」という不思議。
RYUYA

RYUYA