このレビューはネタバレを含みます
『【トラウマの伝播】』
「相棒」からの応援を無視しひたすらSEXしようとする【己の欲望】が拳銃所持を忘れさせ自らその「相棒」から拳銃を借りてしまったためその「相棒」は丸腰にされた状態で首を切られる
(コロナウィルス流行中にも関わらず【己の欲望】に負け花見居酒屋へ出向き自らウィルスを常駐させ大事な「家族」や「恋人」を感染させてしまう)
【己の欲望】が引き起こす【共同体破壊】
だったり
自分の父親をISISに首を切られて殺されたことによって
その「目撃」をそのまま他者へ向けて実行し『代謝』する
(それは「親から虐待を受けて育った子供」が親になったらまたその子供に『虐待』するような暴力の連鎖)
拳銃を与えたために丸腰になった主人公の相棒
ISIS憎悪のリビア人〈
コペンハーゲンに潜伏するISIS員
だったり
身体障害者の妻がいるにも関わらず自分の子供を身篭らせた主人公の相棒に対して親愛なる情が捨てられず最後の最後職責を忘れて一気にトリガーを弾く不倫相手でもある同僚の女
など
『社会』
「個人」
において
不文律な事象を
何気なく・・
描いてるところに
【恐ろしい熟練】さを感じてしまう
(一様に他レビューで「ブライアン・デ・パルマは堕ちた」「B級(笑)」などとヌカす映画通の多さに
イヤ堕ちてるわけじゃあなく
【十分な環境を与えられず銀行からの融資も『アメリカ政府』からストップさせるよう【【圧力】】を加えられている】
と思っている)
靴に付けられたわかりやすい「赤」の情報(これから何か起きますよ)
「赤」いトマトが置かれた部屋
屋根から見下ろす「赤」いトマトが置かれている荷台
・・殺人を匂わす「血」のメタファー
捕捉した/された
丸腰/容疑者
の
目/目線
の
【騙す/騙そうとする】
遠近/対比
屋根の斜め目で見たアングル遊び
デンマーク当局、CIA、ISISが三つ巴になるカードのシャッフル感
捕捉したリビア人の子供をナイフの【先端】で脅しながら恐怖を【植え付ける】CIA幹部
(ボディダブルでも【先端恐怖】の主人公を描いていたけどデ・パーマ自身もしつこく【ベトナム戦争】を描いていたり<その【ベトナム戦争】を描くことと最近の彼が作る映画傾向については後ほど述べる>この映画の登場人物もそうなんだけどデ・パーマ自身本人も「【トラウマに固執】」した人物なのだろうと容易に推察できる
じゃあないとこれだけ同じようなある意味しつこい繰り返しの映画口調にはならないだろうから)
わざわざ御丁寧に次の伏線を懇切丁寧に教えてくれるデ・パーマの映画文法(次のISISの計画が入っているスマホ<わざわざそんな機密情報をあんな笑ワザとらしく<<冒頭の拳銃もそう笑>>引っ掛かる仕掛けを、、しかもズームで笑>の引き出しを「開けてくれ!」と言わんばかりに映画内で探すリビア人、観ている観客にストレスなく?笑円滑に勧めていく手法)
父親をISISに殺され憎しみを持つリビア人を使ってISIS幹部抹殺を図るCIAにとって『別案件』でリビア人を捕まえようとするデンマーク刑事を捜査から外させようとする【パワーバランス】を使った【エゴ】とその【エゴ】に乗ってしまうデンマーク刑事の上司の【不正義】
身障者を妻に持つ「相棒」が死んだ後、同僚の女が明かす不倫の事実と身篭っている現実による「相棒」の美化を防ぐデ・パーマの意地悪ブリ
その「独白」を祝うかのような風車の「赤」
映画前半出てきた「赤」とは違いその回転力/推進力はSEXへの生命力を感じさせる「赤」に感じた・・
なぜか見かけて追尾するトラックに対向して同じトラックが正面に(相変わらず対比好きだね)
CIAの【犬】に成り下がったリビア人がISISの拠点であろう店を乗っ取りその店の主人をリンチしISIS関係者を吐かせようとするんだけど
疲れたのか(笑)
雇い主のCIA幹部とその店のビールを一緒に飲んでくつろぐ
モラトリアムな瞬間!
(ここの場面一番好き、ソナチネを思い出す)
闘牛場における
いつもの(出ました)
双眼鏡による窃視(『映画』そのモノもフィクション窃視、それによる「対象」への勃起<準備:ここでは無差別爆破を目論むビール売り子に扮するISIS員とその周りにいる人の動きのチェックをするという期待>と射精<完了:無差別爆破による支配)
と
スローモーションによるクライマックス
『緊張と溜め』
・・だけど最期のドローンがビール売り子ISIS員目がけて飛んでくるのは相当【ご都合】で【減点】だな
もうちょっと良い墜しはなかったのか・・・
『【トラウマのドミノ】』
最期の最期の不倫同僚のゴダールばりの偶発的終わり方は好きだし
『【人はトラウマによって支配される】』という定点付けは極めて当然の着地だろう
ベトナム戦争を・・特に2作目の作品は『アメリカ政府』までも激怒させその
【報復】
により
『アメリカ』
ではなく
『EU』
でしか作品を撮らせてもらえない
云わば
【干された】
状態の
“流浪の映像魔術師”の爺
彼はロマン・ポランスキーのような【犯罪者】ではない
なのに
【不当な圧力を受け続けている・・】
それだけ
【リダクテッドがアメリカの【【真】】の闇】
なのだろう・・・
【『アメリカ』というトラウマに支配され「個人」のトラウマを描き続ける】
この““【不遇な孤高の監督】””に幸アレ・・