ことさら「実話」を目立たせるほどじゃないんですけど、というところをまず指摘しないといけない面倒くささ。
たしかにSpread Networksって会社は実在したし、"Flash Boys: A Wall Street Revolt."てなネタ本もあるから日本配給公式の掲げる「実話」も「そういうことを考えた奴も世の中にはいた」ってレベルでは嘘ではない。だけどUSのキービジュアルには実話とかそんなこと書かれてない。そもそも原作クレジットにマイケル・ルイスの名前ない。
つまりフィクションとして見るのが健全なやつよ。
実話ベースと思って見れば「そんなバカな」って感想になるシーンが多いけど、たとえば「走れメロス」がノンフィクションだと感動できるけどフィクションならそうでもない。
ってもし自分の子が言ってきたら待て待て、太宰治が井伏鱒二に借金しに行くとき檀一雄を置いていった話がベースにあるんだ、古代ギリシャ云々は作家の才能がカブせたデコレーションよ。って答えたくなるじゃないですか。ならないっすか。
映画を見て素直に面白かったか面白くなかったかを言えばいいのに、あんだって「実話ベースだから……」とか理由をつけてしまうのか。あー？ あんだって？(突然の志村けん)
というような、見終わってから感想をどう書こうか考える手順のほうが忙しかったけど、映画そのものはバカ話としてよく出来てる。
あとサルマ・ハエック(の髪色)が良いです。ものすごく楽しそうなの。
