真田ピロシキ

劇場版 ガンダム Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイターの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.5
先日TVシリーズを見終えてから臨む劇場版Gレコ。まぁ、富野監督恒例の総集編映画なんだけどTVシリーズがとにかくこっちが世界設定や登場人物を理解する間もなく駆け足で進まれてよく理解できていなかったのでこれはいい復習になる。ただそれはよく分かっていなかったと言っても大まかな筋は知っているから楽しめたのかもしれなくて、いきなりこの映画から入った人にはどうなんだろう?

Gレコの強キャラと言えば天才クリム・ニックで物語終盤のクリムはヤザン・ゲーブルやハリー・オードに匹敵するんじゃないかと思うほどの凄腕ぶりを見せつけていたが私は途中まで自称天才くらいにしか思ってなくて、何でだろうなあと思ったら初戦闘がイマイチパットしていなかったからだと気付いた。天才クリムを圧倒したデレンセン教官が強すぎるんだよ。印象が薄かったのは物語を掴めてない序盤に出てきた不幸。それだけの強キャラなのだから本作のラスボスとして締めて良かったように思うなあ。ベルリ君にも大きな心の痛みを植え付けてアイーダ姫様と同じ喪失の重さを持たせられたわけですし。

その姫様のトラウマ カーヒル大尉は新作カットの回想で出番を増やされていてよく分かんない内に死んで何か色々言われている人からかなり物語に置ける存在感を増している。そして姫様のベルリに対する憎しみも増し増しで、編集でそういうシーンを重点的に取り上げられているのもあるし、嫌々ながらベルリ君の労を労いに行く前にロッカーで怒りを爆発させるシーンが追加されてて、この時点での2人の関係をハッキリ伝えられる。気になったのはまだタワーにいた時にニュータイプ的に心で会話するシーンがあったのだがこんなの元からあったかな?ベルリ君は後にニュータイプらしき演出があったが姫様には特になかったと思うので。姉弟だからそうだとしても不思議ではないかもしれないが、後になって振り返るとちゃんと姉弟という伏線は他にも用意されてたんだなと感心。

お前らZガンダムかVガンダムの世界から転生してきたんだろと思うようなマスク(ルイン)とマニィのイカレカップルはこの時点ではまだまともでこの頃ならまだ好きな方。大体のGレコキャラは好きになれるけどコイツらだけは好かんわぁ。ルインは本当何であそこまで豹変したんだろうね。理由として述べられてる要因は分かるのだけれど、あそこまで極端に変わるのは強化人間にでもされてないとちょっと理解できん。ルインの人間性を形成するクンタラという要素については本作中でかなり抽出されてて物語を理解する助けになる。

新作カットは今まで挙げた以外で分かるのは多分ラストのデレンセン隊のシーンとMSトイレ。トイレはTVにもあったが色々肉付けされててその力の入れようは一体(笑)OPはこういう総集編映画には珍しく歌・映像共にTVと同じ。EDは歌はそのままだが映像はほんの一部のみでしかし新しい映像が用意されてるのでもなくて寂しい。あの『Gの閃光』が歌も敵味方が笑顔で踊る平和な映像も大好きなので残すならそのまま残してほしかったな。スパロボXのGレコ勢音楽も主人公姉弟以外は『Gの閃光』で統一してます。

そう言えばスパロボXの姫様は原作通り微妙なパイロットでアルケインも微妙な機体なのでリ・ガズィに乗せてたくらいなんですが、ミック・ジャックからトリニティを譲ってもらったらようやく持ち味を活かせるようになって何とか2軍落ちを避けられそうです。特別操縦技術やカリスマ性がある訳ではなく結構ヘボいのにハマーン様やディアナ様のように様をつけたくなる魅力があって姫様良い。これも吉田健一の力か。それとあの髪フワッ演出。あれでベルリ君のハートも鷲掴みして危うい関係のフラグを立てかけたに違いない。