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レオンのtakのレビュー・感想・評価

レオン(1994年製作の映画)
5.0
アルフレッド・ヒッチコックの「レベッカ」にしても、ピーター・ウィアーの「刑事ジョン・ブック/目撃者」にしても、非アメリカ人監督のハリウッド進出第1作は、不思議と共通したものがある。それは"異邦人の孤独"だ。リッュク・ベッソン監督がフランスを飛び出してアメリカを舞台に撮った「レオン」もまた然り。

「レオン」で登場人物たちが抱える孤独は、他に頼るべきものがない状況に象徴されている。殺し屋レオンは一匹狼で、仕事や世話を焼いてくれるイタリア系アメリカ人と、部屋の観葉植物にしか心を開かない。親を殺された少女は、まさに頼るべきものがないが、周囲の同年代とはかけ離れた感性の持ち主だということも孤独の一因となっている。ニューヨークという大都市で孤立している主人公二人が次第に心を通わせていく様子は、時に温かく描かれたりもするが、その姿には常に哀愁が寄り添う。それ故にレオンが彼女を守るための、ラストの選択が感動的に映る。

その物語の終わりに、ベッソン監督はスティングが悲しげに歌うShape of My Heartを流した。スティングもまた、Englishman In New Yorkで異邦人の孤独を表現した人だ。Shape of My Heartで歌われるのは、答えを求めてカードを見つめる孤独な男が、そこに自分の心の形を見出せないでいる姿。それはまさにレオンだ。日々の生活の中で、自分の居場所に疑問を抱いたり、居心地の悪さを感じている僕らも、レオンに自分を見る。そして心の内で涙するのだ。
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