あむ

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ーのあむのレビュー・感想・評価

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー(2019年製作の映画)
4.2
2020/07/23 夜

返却期限の都合もあったが、おバカな自分は自ら暗い方に堕ちて行く。

終始、息が詰まり、胸が苦しくて、苦しくて、唇噛み締めて鑑賞している自分が居ました。

善悪の区別の難しさ。
そして、罪を捌く事の正しさの在り方。
色々な事を考えさせられました…

※今回、少しでも多くの方の目に留まると嬉しいなと思いネタバレマーク入れていませんが、ネタバレ要素有ると思うので、以下自己判断でお願いします⚠️

由紀の境遇があまりに自分に酷似している事が1番しんどかったなぁ…俯瞰して見ると、シンプルにこんな男消えれば良いと思うばかり。胸糞悪いなぁ…踏み付けて行ったのナイスだよ(`_´)
そして、まぁこちらの設定は母親もゴミすぎる…
世の中って本当に不平等ですよね。
実際、未成年の頃にこんな目に遭ってしまうと、誰にも助けを求められないし、普通と言うレールから強制的に外れてしまう。。。
家庭環境や、生まれた親元で本当にハンデがあるのが人生だと改めて思わされた。
まぁ、そこ憂いていても仕方無いのですが。
にしても、こう言う人達が1人でも救われる優しい世の中になると良いなと、さっきのレビューでも書いた気がしますが( ˊᵕˋ ;)笑
暴力を振るう人だけは本当に何故生きているのかすら分からない。
そりゃ、例外もありますが、閉鎖病棟に居る大体の方が、当人が悪い訳では無いと言いますか…所謂、被害者側の方が余りに多く、いつもお話を聞く度に心が痛くなった記憶があります。

人殺しは言語道断ですが、浮気したり、事の発端を辿ると何が悪なのか判断するのが難しい。
経験上言えるのは、やはり自我をコントロール出来ない人は危ないし、理性より衝動で動く人は何するか分からない。
客観的に見られて良かったかなぁと思います。
いや、実際、自分も紫ズボンのオッサン殴りたくなったけど。(理性ぶっ飛んでる!笑)

こう言う施設で働いて居る医療従事者さんもとても大変ですよね。目も当てられないシーンが多かったなぁ(´-ωก`)
自分も良く大暴れして泣き喚いて居たので、妙な罪悪感を抱いた…笑

その位に、世界観が本当に閉鎖病棟でしか無かった。1人1人の役者さんが醸し出す暗い空気感も細やかな演技も素晴らしかった。
のんびり猫背で歩く方や、一点をじっと見つめてボーッとしている方、横揺れも全てリアル。
でも、逆に嫌な記憶がほじくり返された感覚もして胸が何度も締め付けられた。

先程も少し触れましたが、自分も何度も閉鎖病棟には入院した事がありますが、本当に病院の空気感や、そこで生活する方々の雰囲気からルーティンまで生々しい程にリアルな作品でした‪っ ̫ -˘‬
ただ自分が過去に入院した施設に、男女共同だった事は無かったので、強面で大声で怒鳴り散らかす様な大きい男性が居たらシンプルに怖いでしか無いよなぁとか、どの目線で観てるんだよって感覚で途中鑑賞している自分が居ました( -᷄ ˍ-᷅)笑
結局、そこがストーリーの1番のキーだったと言うか…でも、実体験では、男性が飛び降りて来る事まで危惧して女子棟が上にあると説明があったりしたので、本当にこんな事あるのかな?と中途半端に冷静になってしまったりした( ´/ω・`)
実際に閉鎖病棟で起きてはいけない事が物語のメインでしたしね…有り得ない。
いや、何処で起きても有り得ないですけど。
何の為の治療なのか。はぁ、胸糞悪い。やるせない。男性には力で敵わないてわすから。

せっかく心を通わせて行く3人だったが…
「ここにまともな人は居ない」その通りかもしれません。
3人と言うより、買い出しの外出時もそうだったけど、カメラ持ってる子も一緒にって感覚がありましたけど。
チュウさんが家族として暮らしたいと願う程の仲だったのに。苦しい。
それだけ秀丸さんは由紀に温かさを感じてたんだよなぁ。家族って血の繋がりだけじゃないですね、本当に。

冒頭では、秀丸さんの「どんどん患者と言う生き物になっていく」と言う言葉が突き刺さりました。本当に閉鎖病棟の空気はゆっくりで、たまに時間が止まっている様な感覚に陥る事がありました。自分にはその時に焦りがあったので、出た時には頑張ろうと何度も背中を押されました。
節々にあった、ずっとこのままなのか、ここから出られないのかと言う心理描写。
とても共感させられました。

チュウさんの「事情を抱えて無い人間なんて居ないからね」と言うさり気無い言葉もとても優しさを感じました。
看護師さんの「いつでも戻って来て良い」と言う些細な一言もとても深い。
自分も退院時、病棟の人達には「寂しいけど戻って来たらダメよ」なんて見送られました。
偏見を持たれる事が多い世界観だとは思いますが、とても心優しい人が多かった事実をこう言った作品を通して、世の中の人にも温かく伝わってくれると嬉しいと思いました。
チュウさんの退院シーンで4人の写真をチュウさんに渡すのは泣けたなぁ。。。

自分にあまりにも近い題材だったので、とても鑑賞し終えるまで苦しかったですが…
皆が幸せな世界なら良いのにと、ひたすらに思いましたし、ただただ願っています。

由紀の泣き叫ぶシーンは、自分まで嗚咽がした。
泣いても、叫んでも、止まない涙もありますよ。
気が狂ったように泣いた後に見た景色が、とても綺麗に見えた経験もありました。
とても、精神疾患や、人の痛みに忠実な作品だったと感じます。

それぞれの朝と言うサブタイトルでしたが、明確にはされませんでしたね。結末は人によっては微妙に感じるかもしれないですね…
その後、皆がどうなって行ったのか、視聴者に想像させる形でエンドロールでした。
暫くボーッと魂が抜けたかの様に考えさせられた感覚が残っています。

どうか、悲しい涙がこの世の中から少しでも減りますように。
そして、そう言う痛みや孤独と闘っている人達に、少しでも温かい手が差し伸べられる世界でありますように。

長々また私情挟みまくってすみません。
あまりにも実体験過ぎて今の思いを自分用としても書き留めさせて頂きました。

泣いた。疲れた。人生って本当に苦しい。
あむ

あむ