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窮鼠はチーズの夢を見るのnagaoKAshunPEiのレビュー・感想・評価

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)
4.0
「心を開く」とはよく言ったもので、主人公の心象風景を扉が象徴的に言い表している、そんな作品だった。
その扉の先には決して幸せな未来なんか待っているはずがないのに、それがわかっていてもそのドアノブに手を伸ばしてしまう、伸ばさせてしまう引力が大倉忠義からは滲み出ていて、仕草と声と、はにかんだ顔で男も女も滅茶苦茶になっていく様は苦しくもあり、愉しくもある。
極めつけは、その引力に全力で引き寄せられる成田凌の演技が絶品で、幸せと不安の表裏一体な感情を眼球の潤いだけで物語っていた。
誰も幸せになりそうにない堂々巡りは映画が終わっても続いており、誰かあの円環から成田凌を救い出してやってくれと願わんばかりにカールスバーグを流し込む。
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