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DUNE/デューン 砂の惑星のVigocultureのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
5.0
細部のデザインと照明/音響とにかく素晴らしい。

続編作ってもらうためにも何がなんでも多くの人に観て欲しい。
ドゥニ好き,IMAX厨からしたら、最高の映画。(池袋IMAX)

そして純SFは、ここまで美しい映像で創れると知ってほしい。
VFXはどこまでいってもVFX。
大きいカメラで大きい画を切り取ることこそフィルムメーカーの夢なのだよ。という気概。

物語はスターウォーズ。くらい真っ直ぐ。なにも難しくないし、別に物語が面白いわけではない。古典なんだから。
むしろスターウォーズはDUNEの翻訳版みたいな感じ。ポップに全振りするとああなるんだなって。

これを機に、もう二度と時代が逆行したかのようなSF映画を作らないでほしい。でもきっと、2ヶ月後マトリックスで大いにガッカリしそう。


「ホドロスキーのDUNE」が撒いたSF映画の種が、各々の成長を遂げ、メッセージとブレランで肩慣らししたドゥニがそれを見事にまとめ上げた。
スターウォーズ、エイリアン、ブレードランナー、ナウシカ、マトリックス…全てのSF作品がこの作品から生まれてこの作品を映像化するために戻ってきたかのよう。

押井守談「ブレードランナーのすごいところは、世界観の作り込み。ただそれだけ。
そこだけは細部まで魂が篭ってるからこそ、どんなお粗末なお話でも語り継がれる。」
(逆にブレラン2049はそこを物語に行っちゃったから凡庸だったのよね)

本作もまさに細部までのリアルな作り込みが凄い。衣装、ガジェット。
あと、照明の巧みさ。
見せるとこ見せないとこの巧みさ。
なにもスターウォーズのようにビームを飛ばす必要はない。人を浮かせる必要もない。
それでも”特別な力”を表現できてる。
むしろ光線銃で戦わず暗殺術のような戦闘がメインなのが本当に地味。地味に全振りしたのがこっち。


壮大な世界を大砂漠で撮り、自然光と絶妙なライティングで神秘性と荘厳さを出す。

そこに打楽器の鬼ハンスジマーの音が響き続ける。
スケールの大きさで圧倒し続ける作戦。

「メッセージ」はDUNEの中のショートストーリーだったのでは?とさえ思う。


でもきっと、それ以上に母子を白人美男美女にしたのが結局は正解だということ。
そして武士どもは無骨な髭面を並べて、現地人にはエスニックを加える。
まるであの頃のハリウッドじゃないかと言わんばかりの配役。
だけどそれがいい!キャラクターの説明は”顔”で済ませるべき。
あれ以上ダラダラ説明的なこと喋らせたらほんとダメだから。


ありていな予告編とドゥニの微妙な知名度のせいで世間的には爆発できないだろう作品。
でも間違いなくこれが紀元。紀元前後がここで別れる。
とりあえずアバターで復活した「3D」はここでやっと終わりかな?
IMAXがなにを表現できるのかがやっとこれで伝わるんじゃないかなと。
ノーランはちょっと映像の質感が硬派すぎて、ファンタジーの世界を創る映像じゃないからね。

いいSF映画の条件は、眠くなるかどうかなので、この超大作でもしっかりおねんねポイント作ってくれたのほ嬉しい。
つまり、それだけ「ゆったり」画作りされてるってことね。空間的時間的にゆったり魅せる。
それによってより夢の中のようなファンタジーの世界に入りこめる。
よくないSFはそこを全部飛ばしてドンバチ走り回るからね。
世界観に浸ることができるという経験は必ずもう一度劇場に足を運ばせる。
「物語」は、一度聴くと知ってしまうけど、「世界観」はずっと浸っていたくなる。物語の奥に「世界観」を持っている映画は錆びないから、この映画は本当に価値がある。
限られた時間をゆったり魅せる余裕。”今”ではない未来を見据えたドゥニの覚悟に拍手。

真のスペースオペラの誕生であり、”序””破”もしかしたら”Q”の誕生。
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