このレビューはネタバレを含みます
敢えて男としてレビューします。
生理ちゃんはまずマンがみんなに読んでほしい。オモコロで無料で読めるから。最高だから。
絵も可愛いしギャグセンも高いし何よりも赤裸々にわかりやすく生理の悩みを教えてくれる。
女性の生理の辛さはいかほどか、対策に苦労しているのか、男性が全く理解できていないことがよくわかる。
決まった主人公がいるわけではなく、古今東西、いろんなジャンルの物語に整理が絡んでくる。
江戸時代に葛飾北斎の娘がだ生理用品も何もない時代に生理で悩む話や、初めて日本で生理用ナプキンを普及させた男性の話などの歴史物語もある。
また恒星間航行を扱ったSFやゾンビが蔓延したポストアポカリプス的世界の話もあり、どれだけ非日常の世界だとしても、女性が登場する限りそこには生理の問題がつきまとうということを描いてるのも斬新。様々なフィクションで生理がないものとして描かれていたのかよくわかる。
そして男性が生理の事を分かっていないというだけでなく、女性同士でも生理の症状の重さが違い、認識が違う。当たり前のことだけど色んなことを知ることができた。
さて、映画はどうだったのか。
現代日本に舞台が限定されて原作の縦横無尽な面白さはなくなったけどそれはしょうがない。
でも上映時間短すぎない?軽いコメディとして扱おうとしてる?75分じゃ全部描き切れないでしょ。おまけに生理関係ない人間ドラマパートも割と長いし。
キャストや細かい演出は良かったですよ。二階堂ふみは強そうでも弱そうでもありいかにも編集部とかに良そうな感じの女子でぴったり。
生理ちゃんを背負う二階堂ふみが見れただけで元は取れた気はする笑。
そして靴をハイヒールとスニーカー2種類用意して使い分けているのも最近センシティブな問題を取り込んでいてよかったと思うし、キャラ付けにもなっていた。
そして伊藤沙莉は相変わらず最高すぎる。早口まくしたて芸は圧巻。彼氏いたことない設定でかわいい子ってフィクションで割と出てくるけど伊藤沙莉が一番ちょうどいいリアリティラインの気がするな。原作と違ってレトロゲーマニアになっていたのも笑った。
しかし上映時間短いし、男側の辛さの話として出てくる性欲くんは単なるギャグ要員になっていて残念。原作の男女入れ替わってお互いの辛さがわかる話とか入れて欲しかったな。
自分のお父さんと対比して「娘のためだけに生きているわけじゃない」って正直に吐露する彼氏と別れる展開もあんまり呑み込めない。
そのセリフ自体は間違ってないと思うんだけどな。親だからって子供のために全部犠牲にするような時代じゃないでしょ。
そんで岡田義徳は役にははまってたけどあんなに舌ったらずな話し方だったっけ?
伊藤沙莉と編集部の童貞君との恋愛ももっと描いてほしかったし、生理ちゃんにももっと喋って欲しかった。利穂ちゃんに「自分に呪いかけるのやめなよ」ってセリフはちゃんとあってよかったけどね。
それから原作と違って生理ちゃんは男には見えないものになっていたのは、実写化としてはありかもだけど、それだったらもっと男の無理解問題を掘り下げるべきでは。そして留飲を下げるためだけの編集長への生理パンチはいらなかったのでは。
とか諸々の不満も結局時間が足りないから。110分は欲しい。
ていうか女性監督いっぱい呼んで深夜枠の30分ドラマで各エピソードを2クールくらいやって欲しいです(笑)。それくらい描くことたくさんあると思う。