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イエスタデイのkassyのレビュー・感想・評価

イエスタデイ(2019年製作の映画)
3.4
ある日突然、自分だけがビートルズを知っていてビートルズが存在しない世界になっていたら…というifストーリー。
売れないミュージシャンのジャックはビートルズの数々の名曲を思い出して発表しながら成り上がっていく。


ビートルズの楽曲が全編に溢れ、エド・シーランなども出演し細かい小ネタが詰まった楽しいコメディなのだが、予告どおりの想定の範囲内の物語だった。
ビートルズの楽曲を使って成り上がるものの悩むというメインストーリーに、売れない時から支えてくれたエリーとの恋模様も絡んでくるわけだが、絡むのはいいのだがこの関係が「あと1センチの恋」かよっていうくらい煮え切らない。この関係が萌える!っていう人もいるかもしれないが、エリーの人物造形が男性が作った理想の女性像って感じで違和感しかなかった。めちゃめちゃ可愛いのに、冴えない小太りの才能ない売れないミュージシャンに一途に健気に支えてくれて20年も待ってるとか…いやぁリリー・ジェームズが可愛すぎておとぎ話すぎる。


ーーここから少しネタバレーー


物語の途中で「ある人」が出てきて、なるほど監督はこれがやりたかったのか。と納得した。
これはある意味、ダニー・ボイル版「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」ならぬ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・リヴァプール」なのかもしれない。ビートルズが存在しないということは、起こることも起こらなくなる。このことが一番のifなのかもしれないと思った。ファンだからこそあの事をなかったことして未来を描いてあげたいのは自明の理だ。

エド・シーランもビートルズに完敗だと認めるような役どころだが、これもご本人のビートルズに対してリスペクトがあるからだからだろう。心意気ですね。

しかしながら、ビートルズの楽曲ってやっぱり最高だよね。くらいしか感想が湧いてこない映画という印象だった。
ただ、見終わった今はビートルズ楽曲をついつい口ずさんでしまう。
ビートルズ世代ではない私でも、映画界が作りたいであろうビートルズの伝記映画がいつか作られることを心待ちにしている。


そういえば、セリフの中でソングライターの1人としてあげられていたブルース・スプリングスティーンが字幕では端折られてなんとも言えない気持ちになった。日本で知名度低いから?
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