ある停電の日を境にThe Beatlesが存在したという事実が消失した世界で唯一その記憶がある主人公の話。
とても広く、悪い言い方をするとありそうな設定。(漫画ドクターストーンの音楽版とも言える)
それに対して、守備範囲をちゃんと決めていたのがよかった。
・なぜそうなった?には言及しない
・どうやったら戻れる?は探らない。
下記のようなやりがちな部分をやらないのもよかった。
・富や名声に溺れる本当は才能のない主人公
・盗作がバレて追い詰められる。
そうなった時に世界はどうなる?ではなく、あくまで気の優しくThe Beatlesにリスペクトのある主人公に焦点を当てているのが良い意味でこの映画のスケールをダウンしている。
この現代にThe Beatlesがデビューしたとして売れるか?などという議論は置いて、
「彼はたった5曲で音楽というものの概念を変えた」という評価になるところも気持ちいい。
挿入される音楽はどれも素晴らしいしね。
好きなシーンも結構あるが両親に何か聴かせてよとせがまれてlet it beを初披露しようとするが曲の途中で友達が来たり、ビールを探し出したり…主人公が一言。
「ちゃんと聴いてよ!この曲を初めて聴く人類なんだよ?」