垂直落下式サミング

ザ・テキサス・レンジャーズ​の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.0
実在の犯罪者カップルであるボニーとクライドを、彼らを追いつめたテキサス・レンジャーの視点で描いている。
連邦捜査局のエリートたちもお手上げの無軌道なサイコ野郎を、昔かたぎの流儀でオールドマンズコンビが追っていく。
ケビン・コスナーとウディ・ハレルソンは、古典的なアメリカの男としてアイコン的な格好よさ。ウディ・ハレルソンは、とてもいい俳優。顔のかたちが最高。長方形。西部劇やってください。
僕の超大嫌い映画『ナチュラルボーンキラーズ』では、ボニーとクライドみたいな犯罪者の役をやっていたウディ・ハレルソン氏ではあるけれど、今度は真っ当な価値観で追い詰める側になってるのがステキ。リハビリテートしたんやな。
昔は、誰よりも自由だとか、牙剥く狂犬だとか、反骨の精神だとか、そんなふうに持て囃されたのだろうが、所詮は人殺しのカス野郎だって、これがもうすべてじゃないですか。カウンターカルチャーは死んだんだよ。
つーか、ボニー&クライドなんて、当初から腐臭のなかでこそ輝けた物語でしょうよ?そもそも、こんな奴ら崇拝していいわけないじゃん。ちょっと気合い入った田舎ヤンキーとかのやつじゃなくて、マジのクソ極悪人のサイコ野郎だぞ。美しさの裏側にあるのは常に、ありきたりな卑近さと、直視できないグロテスクさ。
世界恐慌のアメリカって、そんな救えないくらい病んでたのか?今もたいして変わらない状況かもね。盗んだバイクで走り出したり、夜の校舎窓ガラス壊して回ったりするヤカラを許容できないくらいに、社会と僕らの心は貧しい。まあ、世のため人のため惨めったらしく死んどけや。しっかり清算して、あの世に行きな。