にしやん

チャイルド・プレイのにしやんのレビュー・感想・評価

チャイルド・プレイ(2019年製作の映画)
2.8
超有名ホラー映画「チャイルド・プレイ」のリメイク版やな。狂気に満ちた「チャッキー」という名前の人形が少年とその家族を恐怖に陥れるっちゅう基本プロットは同じで、全くちゃうんは人形の設定やな。初代の「チャイルド・プレイ」はその後シリーズ化されて続編も何作か作られてるんやけど、今回のリメイク版はこのシリーズとは一切関係あれへんみたいや。

オリジナル版では電池で動く機械仕掛けの人形やってんけど、リメイク版はAI搭載の超ハイテク人形になってて、スマホで操作もできるようになってるわ。確かにイマドキのアレンジやねんけど、今までのシリーズのファンにとっては現代風になり過ぎてて、恐怖の質がちゃうというか、恐怖自体が薄まってる印象やな。ちょっと物足らんかもしれへん。

設定を変えてしもたことで、色々と他の部分も変えられてるで。オリジナル版は、“チャッキーに電池が入ってへんのに動いてる”んが発覚してゾッとする(一作目)みたいな心理的な怖さみたいなもんがあったと思うねんけど、 リメイク版ではそういう恐怖がまるまるあれへんどころか、完全にスプラッターもんになっとるで。これは相当の路線変更や。その割には全然ゴア感が足らんけどな。

その他にも、主人公の男の年齢がオリジナル版では5、6歳くらいやったのに、リメイク版ではティーンエイジャーに変えられてるんも相当大きいと思うわ。幼い子供自体が味わう恐怖の要素が完全に無くなってしもて、「IT イット “それ”が見えたら、終わり」と同じ構造になってる。調べてみたら「IT イット “それ”が見えたら、終わり」と製作会社が同じやったわ。なるほどな。そういうことかいな。

それに変わり過ぎたんはなんというても「顔」の見た目やろ。これじゃ、いっこも可愛ないやんか。どう見たかて変やわ。あんな顔した人形が子供に売れる訳ないやろ。そもそもこの映画あんまり怖ないっていうのが大問題やわ。皆で家でビデオかなんかで観てゲラゲラ笑って楽しむノリの作品とちゃうかな。

それともひとつ文句を言うとすると、ラストのチャッキーとの戦いについてももうちょっと工夫がほしかったかな。あれじゃ普通というかインパクトないわな。相手がハイテクやねんから、それを逆手にとったような相手なりの戦い方にアイデアみたいなもんが欲しかったわ。あれじゃ、ただの人間みたいな子供人形と戦ってるだけになってしもてるわな。

全体のテーマとしては科学技術によってどんどん便利になるわし等人間社会への皮肉や批判といった感じなんやろけど、テーマとしては真新しさはないわな。ただ、人形を作ってるアメリカの会社の下請けのアジアのどっかにある工場の長時間労働、3K、パワハラ等の劣悪な労働環境が、この騒動のきっかけになったっていうとこだけは皮肉としては良かったんとちゃうかな。

とにかくチャッキーやっていうとこは同じでも設定自体が違いすぎるんとちゃうかな。最後まで「AI搭載チャッキー」への違和感を拭えんかったわ。このテーマで映画作るんやったらチャッキーの必要は全く無いし、逆にチャッキーやなかったらもっとおもろいもんがてきたんかもしれへんわな。「殺人AI」のアイデア自体は悪ないんとちゃうかな。

最後にこれだけは言えるわ。AIにホラー映画見せたらあかんって。
にしやん

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