真田ピロシキ

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッションの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

2.7
フランスで実写化されたシティハンター。吹き替え版では獠や香や冴子といった名前にツッコミたくなる気持ちは日系フランス人ということにして納得しよう。もう春麗くらいしか覚えていないジャッキー・チェンのアレに比べると相当レベルの高い実写シティハンター。フランス人顔でも立派に獠で、いつもの獠と香のラブコメが展開され、穴をぶち抜く精密射撃など劇場版アニメと同じ感覚で見ていられる。極め付けはGet Wild。カバーじゃなくてオリジナル。懐古を大いに喜ばせる。ところどころケンシロウとか翼とか同年代のジャンプネタを盛り込む(吹き替え限定?)のもクドくなくて良い塩梅。らんまはジャンプじゃなくてサンデーだが黙っときます(笑)

しかしあまり楽しめなかった。シティハンターは好きなんだけど80年代の漫画な訳じゃないですか。当時の描写にまでケチつけるつもりはありませんが、今の時代にわざわざ新作を発表するならそのままじゃいけないと思う。そんなポリティカルコレクトネスを堂々と掲げられるほど偉い人間じゃないので結構ヌルく見てて、スコープで女の人を覗くのも厳密にはアウトだけどそこは不問にしてた。でもゲイをギャグにするのはアカンでしょう。惚れ香水で女好きの獠がオッサンに夢中になってしまう描写からして若干引いてたがこれは好みじゃない女性に置き換えても成立するから良いよ。だけど最後に刑務所に入れられた敵にライフルでぶち込んで周りのイカつい受刑者に好かせるってのは笑えない。同性愛を罰にしてるんだから。原作でもこんな事はしてないと思うんだけどなあ。シティハンターってのはクールな漫画であるし世代を跨げる魅力もあると思うのに本作はあくまで3〜40代を喜ばせるに留まってしまってるのが残念。これなら上川隆也が出てたドラマのエンジェルハートの方がずっとモヤモヤせず見れるかな。あれは話が辛気臭すぎて無理だったんだけど。

1時間も経たない内にノリについて行けなくなってたので92分しかないのに長く感じた。あの惚れ香水持ったおじさんの出番妙に多いし。アクション演出はなかなか面白くて手を縛られた状態での一人称格闘や香とコンビで撃つシーンなどがあって、話の時はたまに画面外を見てたくらいだがこの時は目が戻ってた。吹き替え声優は山寺宏一と沢城みゆき。良いんだけど神谷明と伊倉一恵出てるのにという気持ちも拭えない。2019年の劇場版アニメでも神谷・伊倉コンビなんでしょ?