kaho

SKIN 短編のkahoのネタバレレビュー・内容・結末

SKIN 短編(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

この途方もない悲愴と胸糞悪さの根元が、現実に未だ蔓延る問題であることに絶望する。

特に子どもの描写が秀逸で苦しい。親と過ごす時間が嬉しくてたまらないと物語る彼の笑顔が自然で眩しいほど(ジャクソンくん素晴らしい)、その純粋な心が大人たちに巻き込まれ傷つけられ染まってしまうことのやるせなさが色濃く際立つ。

そしてそのやるせなさ以上に、子どもに対する保護者の影響力と責任、そして教育の重要性を強く感じる。
子どもは親を通して社会を知るし、子どもにとって親の存在はその小さな世界のなかであまりに大きい。保護者にはその自覚がなければならない。
蛇の生存戦略と色に関する子どもの学びを、父親が誤った理解で雑に一纏めにしたシーンの醜悪さの理由はここにあって、(真実はそうでないのに)色がある=悪と決めつける構図がレイシズムと重なるだけでなく、子どもの得た知識が家庭でねじ曲げられて子どもに返されてしまう様子も映し出している。

だからこそ、そうしたやり取りを繰り返す中でも、子どもが一個人として、その偏った思想を打ち砕いて淀みのない視点と広い視野を獲得できる機会である教育が重要なのだと思う。どんな状況であっても教育はそうあり続けなければならないし、家庭環境などに関わらず広く全ての子どもに教育の機会が保障されなければならない。そのために国は教育を支援すべきで、教育を蔑ろにする国に明るい未来などない。

さらに言うならば、レイシズムへの抗議にも通ずる人権教育は、未就学児からだってできるはずだ。むしろ自己と他者の違いを認識し受容し始める幼児期にこそ必要とさえ言える。
特定の国籍の人や他国にルーツを持つ人に対する偏見やヘイトクライムが目に余るこの国には、その解消に向かう1つの手段として、幼児期からの段階的かつ永続的な人権教育を実施してほしい。
kaho

kaho