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スキャンダルのmoekoのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
4.8
久しぶりに好みど真ん中の作品に出会えました。こういうテーマの映画、大好きです。
アメリカの大手テレビ会社FOXの幹部のセクハラを、女性キャスターが訴えたという実話をもとに作られた作品。実際に事件が起きてから約3年で公開されました。こういう映画を見ると、世の中で何かが起きた時、それを1つの作品に仕上げ、人の心に残るようにするという行為に、常々感服します。
グレッチェンがセクハラを訴えた時の、セクハラを経験した他の女性の反応、リアルでした。セクハラの裁判で、どんな服装をしていたのか、どんな態度でいたのか、と被害者女性が質問され、まるで自分からセクハラされるように誘ったのではないかと詰問されている気持ちになり、とても苦しい思いをしたという記事を読んだことがあります。セクハラを訴えるということは、リベンジポルノの危機に自ら身を投じることとイコールに感じるのだと思います。それに、自分の被害を語ることは、苦々しい体験を思い出し、後悔や苦痛の渦に飲まれる経験でもあるのではないかと。あと、今回は女性が被害者として描かれていたけど、異性に対して支配的な態度を取る人は男女共にいるし、世の中には男性の被害者もいるのだろうと想像することは容易いです。男女逆転バージョンの実態も知りたいと思いました。
また、この作品を見ていると、性とは何と厄介なものだろう、と思います。性があるからこその楽しみもあるし、性は1つの生まれ持った武器でもあると同時に、人間を生まれながらにして区別するという残酷さも秘めていると痛感しました。性差を超えた平等などあるのだろうかと考えてしまいます。
と、こんな感じに色々考えて悩ましくなれる作品が私は好きです。これからも刺激的な作品に出会えますように。
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