We are the wonder in WONDER LAND!!
ワンダーパークという邦題だけど、舞台は”ワンダーランド”。
空想とモノづくりが得意で、友達や両親を喜ばせることが大好きな生粋のエンターテイナー ジューン。ジューンの精神世界とつながるワンダーランド。彼女の作る世界はやがて独立していき、話しかける相手のぬいぐるみたちは空想上の遊園地ワンダーランドでイキイキと活躍していた。
ジューンの突拍子もない思いつきや、ご近所を破壊し交通事故寸前の暴走行為も苦笑いしつつできるだけサポートする、なんとも理解のある両親。そんな両親の下で育まれた空想力と行動力でモノづくりに励んでいたジューンに訪れる、ある試練。
子どもが、子ども自身の好きなこと、得意なことを、嫌いになったり自分から遠ざけることほど、親にとって悲しいことはないと思う。ジューンなりに葛藤した挙句、封印されるワンダーランド(の模型)。その結果、本物のワンダーランドでは闇が広がり、遊園地は朽ち果てようとしている。
悪役がチンパンジーのミニぬいぐるみ、その名もチンパンゾンビ。たしかにゾンビみ溢れる増殖の仕方でちょびっとホラーに追いかけてくる場面もあるけど、基本的にはビジュアルも声も全然怖くない。笑 むしろかわいい。
「いいよ、どうせ。全部無駄だから」と言った瞬間、子どもが自分の力で作り出した「奇跡」や「希望」は消えてしまう。
自分の作り上げた世界を救うため奔走するジューンの姿に、どこかで失ってしまった溢れる空想力を取り戻したくなる。
とにかく画がキレイ。ビビるぐらいの書き込み。森や林の自然の美しさと、空想上の遊園地の壮大さは圧巻。
キャラの造形も悪くない。
加えてBGMもなかなかよく、大事な場面で流れる2曲の歌がドライな感じで特に良い。
主人公は女の子だけど、モノづくりが得意でやんちゃなリーダータイプ、ボブヘアの活発少女。そんな彼女に想いを寄せるバンキーは、一途でナヨっとしたフェミニン男子。ここは現代ぽい。
良い面もあるけれど、残念な点も色々。
まず、キャラそれぞれの特徴描写が薄い。特にワンダーランドのキャラたちがものすごく淡白に描かれているのが残念。セリフ量の偏りも気になる。
また、ワンダーランドに行くまでが長い。後半でものすごく駆け足の冒険されるもんだから、せっかく仕掛けがたくさんのワンダーランドなのに、いまジューンたちはどこを移動してるのか等が全然わからない。
鍵となる観覧車についても、いつその話出てきた?て感じでいつの間にかそこを目指してるという畳み掛け具合。ママが設計図に書いたジューンの名前がヒントになるのはなかなか良かったんだけどなあ…
空想することを忘れないで。かつてわたしにもいたはずの、頭の中の友達。
想像する力を失ってしまうと、人生は寂しい。お子様と一緒に見れる作品だけど、お子様がこのテンポ感について来れるかは…謎。