ノリコ

浅田家!のノリコのネタバレレビュー・内容・結末

浅田家!(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2020年見た映画のなかで1位です。
つらつら書きます。


政志が写真を撮るようになったのも
専門学校を卒業してのらりくらりしていたとき
もう1回撮ろう、撮りたいと思えたのも
お父さんの影響があったからでした。

始まりは単純なことだったのかもしれない。
「お父さんの夢を叶えてあげたい」とか
「家族で写真とれたらなんか面白そう」みたいな。
消防士、極道、レーサー、ヒーローなどなど
たくさんのテーマで家族写真を撮りあげます。
どれもとてもいい写真で、
政志の写真への「好き!」が加速していくような気がしてわくわくしました。
最高のおもしろ家族やな〜!🌼って思いながら見てました。

写真集を出版して、賞をとったあと、
いろいろな家族の家族写真を撮るようになって
それぞれの家族にそれぞれの個性があって
その写真たちもすごくいい楽しそうな写真でした。
そんなとき出会った佐伯家から、政志の葛藤が始まります。
「自分が撮った写真が、もしかしたらだれかの辛い思い出になってしまうのではないか」
ここでの涙を流しながらシャッターを切るシーンが、強く強く印象に残っています。

東北の大震災の現場へ向かい、写真返却のボランティアと出会う場面。
本当にこれは大変なことだと感じました。
100の批難1の喜び。
見えない誰かのために、写真を洗い続けることが正しいのか?
それでも「ありがとう」と言ってくれる人がいる。
その人たちに写真を返したいという小野の強さを感じました。

一方、家族写真を撮って欲しいと言われた政志は「撮れない」という答えを出しました。
瓦礫の中、もう基礎しか残っていない家。
「撮れやんよ・・・」と声を絞り出す政志。
つらすぎる。
目の前の女の子にとって、不幸な記憶になるかもしれない写真。
いままでずっと「好き!」「おもしろそう!」という感情で撮ってきた。
不幸な写真はもう、撮れない。
お父さんが倒れてしまったとき、家族写真はもう撮れないかもと言ったのもこういう葛藤があったのだろうと思いました。
写真家としての人生を否定するかのような葛藤。

そんな葛藤に光を与えてくれたのも、またお父さんでした。
写真家になる前の記憶。
本当に嬉しそうに子供の写真を撮るお父さん。
「うちも同じだったから」
莉子ちゃんのお父さんも、自分は写ってなくても、幸せをいっぱい感じながら、シャッターを切っていたんだろうな・・・。
政志とお父さんが重なるシーンでは、思わず涙が溢れました。

写真は「思い出の中のだれかとまた会える」もの。
そして「今を生きる力になる」もの。

わたしは社会人になって、学生時代の写真を見返すことがよくあります。
こんなことあったな、この日はどんな日だったな、
そんな思い出タイムがあって、また明日から頑張ろうと思えたりする。

この映画を見終わって
家族に会いたくなったし、
写真を撮りたくなったし、
やりたいこといっぱいできちゃいました。笑

ほんで最初のシーン、シリアスちゃうかったんか〜いという伏線回収で
どこまでもエンタメ!!!って感じがして超すきでした。
ノリコ

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