ノリコ

罪の声のノリコのネタバレレビュー・内容・結末

罪の声(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

何も知らないまま罪を背負わされた小さく弱い子供たちの人生

大人の都合が、
個人個人の社会に対する反発心が、
身勝手な思い込みの正義が、
子供の、またその周りの人生を苦しめることがある

たしかに達雄や生島、俊也の母真由美も
悲劇の主人公だったかもしれない
警察や社会のせいで、親が死んだり、
自分自身が不幸になった被害者だったのかもしれない
しかし憎しみの心をもった瞬間に、
彼らもまた人を不幸に巻き込む加害者になった
この悲しい不幸の連鎖
時には学校の先生、同級生の心までも蝕んだのだ

聡一郎がお母さんと再開したシーン
「声が聞きたいなぁ」
犯罪に使われた"声"
そのテープのせいで人生を無茶苦茶にされ、命まで奪われてしまった
かつてニュースで流され誰しもが聞いた、
今はネットで誰でもいつでも聞くことができるその"声"が
唯一残る娘の"声"だなんて・・・

なんてやるせない
悲しい

しかし、このお話にも光はあった
ロンドンで阿久津が達雄に伝えた俊也の伝言
「僕はあなたのようにはならない」
どんな不幸が降り掛かっても、誰かを恨んでも
社会に反発し、周りや関係の無いひとまで巻き込むような
そんな人間には絶対にならないと・・・
これから先も消えない罪を背負わされた俊也は
それを自分なりに受け止めて
母が亡くなった時、頭を優しく撫でたのだろう
そして、この不幸を決して娘に伝染させないように
これからも暮らしていくのだろう
父親を抗争で殺されても、正しく生きた父親の光雄のように・・・


前半、事件の推理がめちゃめちゃ面白くて
後半、感情移入してしまうそれぞれの人生のお話で心が揺さぶられました。

そして、エンドロールの主題歌が染みる。
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毎日夢を見て毎日目が覚めて
夢と現実の狭間で
ぶら下がって足を浮かせたまんま
風が吹けば吹かれた方へ流されて
我武者羅に走った汗を
ただの塩にしてきた人生も
「振り子」/Uru
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流石、野木作品。
ただの推理物じゃなく、きちんとメッセージが込められていて良かった。
圧巻!としか言いようがない面白さでした。

もう1回見たい〜〜・・・・!!!
ノリコ

ノリコ