ノリコ

ちょっと思い出しただけのノリコのネタバレレビュー・内容・結末

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

わたしはクリープハイプの曲が好きだ。
耳ざわりのよい曲調に
どこかチクリと刺すような歌詞が心地良い。

この映画の主題歌『ナイトオンザプラネット』
挿入歌『君の部屋』『さっきの話』『exダーリン』
どれもよく聴くお気に入りの曲。
でも映画の主題歌ってことは知らなかったなあ。。

始まって数分で尾崎世界観が登場して
「ま、まさか」とは思ったが
もちろんクリープの曲が使われていて
そしてそれが本当に映画の雰囲気とマッチしていて
いつもなんとなく聞き流していた歌詞が
劇中ではとてもはっきりと胸に届いた。


最初は葉と照生はここからどうやって
仲良くなっていくのか、と思っていたが、
そう思いながら見つめていた映像は
もうとっくに2人が別れたあとだったことに
マスクをしていない人々を見て気づく。

この話は前に進むものではなく、
葉と照生の物語をちょっとだけ、
いろんなことがある1年のうちの
たった1日だけを切り抜いて遡る。

照生の誕生日になると、
あんなこともあったよなあって
2人はちょっと思い出すんだろうな。
それを見ている感じ。


公園でおじさんが雨の中奥さんを待っていて
葉がびしょ濡れになって奥さんを探すシーン。
そのあとバーで「意味なかった」と言う葉に対して
「あんたも探したし、会いたいと思ったから会えたんじゃない」
というマスターの言葉がやけに残っていて。

最後にお話が現在に戻ってきたときに
2人は顔を合わせてはいないけれどたしかに
お互いの存在を感じていたと思う。

"会いたいと思ったから会えた"

ちゃんと終わったまんまの2人だけど
どこかで少しだけ"会いたい"と思っているようなそんな感じ。
本当に会うことはないのだと思うけれど。


感想としては「何このエモ映画」である。
ニューヨークの屋敷風に言えば「なななななんやこの映画」である。

見たあとに切なさも込み上げるのに
確かな心地良さがあって、でもしんどさもあるような。
言葉にするには難しい。


心に残る素敵なシーンが多すぎて
胸がいっぱいになる映画。
ノリコ

ノリコ