ユーライ

ラストナイト・イン・ソーホーのユーライのレビュー・感想・評価

4.0
ハードコア新社会人百合。普通なら「貴女は私が守るわ」で一方的にイノセントな被害者属性にするのに種明かしとして裏切っていく安易な感情移入を拒む展開がむしろ良い。「舐めんなよ」で安パイを取らない姿勢に価値がある。最後に館が焼失するテンプレに沿いながら、『PERFECT BLUE』的なニューロティック・ホラーではなく、超現実ではないミステリとして中途半端に整合性を取ろうとしているのが窮屈。意外性を優先して興味は持続するが、実存的な不安はどんどん後退して底が抜けていく。代わりに出て来るジャンル愛とレイプリベンジ・シスターフッドの社会批評性が噛み合っていない。だから顔をしかめて観るのではなく、「夢見がちな女の子の一大冒険」くらいの軽いノリが適当だと思う。重くしたいのか軽くしたいのかわからない。現実と夢が融解していく過程として、設定上しょうがないにしても発動条件が「あの部屋」だからワンパターンに見える。後半改善されていくが、もっと所構わずシームレスにトリップする感覚が欲しかった。グロは嬉々として映す癖に、エロは曖昧に流すのはテーマ的に不誠実ではないのか。
ユーライ

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