りか

ナイル殺人事件のりかのネタバレレビュー・内容・結末

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

オリエント急行の反省からなのか登場人物をかなり厳選していて、まあこれはこれでよしとするか。その方がよりキャラクターと動きがわかって良いだろう。
ブークがティム親子の代わりと来たか。ほほぅ。
そもそもを言っちゃうと、ポアロといったらヘイスティングスが相棒なのだけど、オリエント急行もこのナイルでもヘイスティングスさ出てこない。
その代わりにブークが相棒っぽくなっていて、へえって感じ。
ポアロは1人で解決するんじゃなくて、やっぱり必ず1人は相棒がいる。
ブークを相棒にするのなら、もう少しキャラクターが賢かったり、もう少し相棒感があったら良かったなあ。

前作よりはよかったかな。
よかったが、やっぱりちょっとこの監督とわたしのポアロ像が全然違うと思った。
冒頭のポアロの回想シーンでこだわりの口髭の誕生秘話はよかった(オリジナルらしい)が、いちいち女を絡ませないでほしいなと。
前作の写真見ながら「カトリーヌ、行き詰まってしまったよ」も完全にいらなかったけど、今回もジャッキーに涙溜めてカトリーヌのこと話したりするのは柄じゃないと思うんだよなあ。
しかもラストのサロメに会いに行く感じもちょっとなんだかなあ。

あとポアロは確かに用心深いけれど、絶対に容疑者全員に「お前がやったんだろう!」みたいに声を荒げて迫ることはしない!!!!
これはどうにも受け入れられない!!!!
ポアロはいつも冷静で、繊細で、よく周りの動きを見てるし、選ぶ言葉も厳選している。
よく動きを見ている感じは出しているけど、このポアロはどうにも感情的すぎる。
ここがやっぱり違うんだよなあ。
あと前作もそうだったけど、逃げる犯人を追いかけたり、銃を避けたりあんなに俊敏じゃないはず。笑

ただジャッキーの役柄はすごくハマっていて、わたしのイメージ通り(&めっちゃタイプ)ですごくよかった🥺
サイモンはもっと身体でかくてモサモサしてるイメージだったけどこれはこれで良き。
リネットはガル・ガドットのようなオリエンタルで知的な感じじゃなくて、もうちょっとブロンドのキラキラ女性のイメージだったなあ。
小賢しさはあるけどちょっと上から目線で危うい感じとかを出せていたらよかったなあ。

キャラが削減されていたから仕方ない部分はあれど、冒頭はもう少しそれぞれの関係と思惑が描けていたらなお良かった。
原作だとまずそれぞれの登場人物のストーリーから始まり、リネットとの関係や、リネットの突然の婚約に危機を感じたり、それぞれ裏の狙いがあってこのエジプトに来ている様子が描かれているからこそ、リネットの「誰も信用ならない」が生きてくる。

なんかこのポアロシリーズは推理だとかそういうのよりも、なぜどうやって殺したのかをさらりと言ってただのストーリーにしまうのが勿体無いなあ。
もう少しサスペンス&ミステリー感を出せたら面白いんだけどなあ。
ポチャンと聞こえた音だとか、空の赤いマニキュア瓶、スカーフがないと騒ぐ婦人、しつこいほどにコーネリア(本作にはいない)に絡んでくるジャッキー、ポアロやティム親子の飲み物がいつも決まってる…とかとか。
こういう小さな出来事を積み重ねてたどり着くポアロシリーズの良さが、なんだか雑にまとめられてしまっている気がする。

ラストの2人同時に死ぬみたいなシーンは映像だからこそ表現できているので良かったけど、その前のくだりの、銃を3人が構えるシーンみたいな変な緊張感はわざわざ作らなくていいと思う。
あとここで変なポリコレ放り込んでこないで!!!
ミス・ヴァン・スカイラーはただの意地悪で手癖の悪い横柄なおばはんでいいの!

まあとはいえ、前回よりはよかった。
次はハロウィンパーティーか。
未読なので早く読みたいなあ。
りか

りか