りか

オリエント急行殺人事件のりかのネタバレレビュー・内容・結末

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

原作厨のわたしはやはり低評価にせざるを得ない…
アガサシリーズの中で暫定1位、なんなら推理小説の中でも特別で大好きすぎる作品だから、もう残念でしかない。
それにこんなに豪華なキャストを集めておいてもったいないなあ…

アガサの小説を2時間弱の映像にまとめるのってやっぱり難しいんじゃないか?
小説ではどの作品も人物描写が巧みで繊細で、ぽろっと出た会話が後々効いてくるのが特徴だけど、特にこのオリエント急行はポアロのそれぞれの人物との会話とか尋問の方法がバラバラで、一体誰が犯人なのかまったくわからないまま、ようやく終盤で彼らの繋がりやバックグラウンドを丁寧に推理していく過程がすごく良いのに、この繊細さを全く表現できていなくて残念。
せっかくのキャラクターも、キャストも全く活きてこない…

あとやっぱりポアロがポアロじゃなさすぎるなあ。
たまたま先日NHKでやっていたドラマ版ポアロのオリエント急行がやっていたので観たけれど、よっぽどこちらの方が良くできていたし、ポアロがまんまイメージ通りだった。
映画独特の演出も蛇足が多くて、特に医師とポアロのアクションは全く不要。

ドラマ版で優れていたのは、原作に忠実でポアロの推理をオリエント急行内で行っていたこと。
オリエント急行内に殺人犯がいるかもしれないという恐怖とか、お互いの人間関係だとか密室感にヒリヒリしたりソワソワするのが良いのに、本作はなぜか推理が外だったのも残念。
12人が横並びで座る姿は最後の晩餐のオマージュなのだろうし、発想は面白いのに物語には特段活きてこない。

ただオリエント急行の物語そのものは知っているから、やっぱりラチェットを全員でひと刺しずつしていく回想シーンは泣けた。
でもこれはあくまでも映画で泣けたのではなく、アガサの描いた物語の映像化で泣けた、という感じ。

なんかもっと良くできそうなのになあ。
それに次のナイルも、もともとはポアロは普通に旅行してたところに殺人事件が起こると言うものだったはずだけど、これもすでに「エジプトで殺人事件です」と言っているし、すでに導入から違うので不安…🥲
りか

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