ダイヤルN

ミッドサマーのダイヤルNのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画が公開される事が決まってから散々楽しみにしていたものの、日本では規制がかかるとの話を聞いたせいで結局劇場で観ぬまま本日やっと視聴

ホラー映画だと聞いていたのに拍子抜けというか、これをホラー映画とカテゴライズするのはどうかななどと映画鑑賞を主たる趣味としていない私のような人間などでも思ってしまった
全て私の個人的な見解なので偉そうに語っているのも大目に見て欲しいが、私としてはこの映画はスピリチュアルに属するのではないかと思っている

どこまでも原始的な宗教観、アミニズムと言っていいのか?
生命が息吹く季節を祝い、太陽へと感謝を捧げ、次の祝祭までの豊穣を願って供物を捧げる、それらが象徴的なモチーフによってまるで見世物のように映ってしまうのかなという印象は受けたものの、監督自身がそれを狙っていたようには私には思えない

何度か観直さないと見落としている部分や理解が足りていない部分がありそうだが、現時点で私の中で印象的だった事は、彼らの人生観や死生観、コミューンを維持する為とされている一種のマレビト信仰的な部分、数々の象徴物である

ホルガの人々は人生を春夏秋冬へ置き換え、冬を迎えた者達は自らの命を終わらせて、その名を次代の子へと受け継ぐ
ある種の輪廻転生のようなその考え方は、やはり原始的な宗教観から来るもののように思われる

マレビト信仰というのは日本にかつて存在し今も祭りなどで形骸的に残されている『来訪者を特別な存在として崇める』というもので、ペレによって連れてこられたクリスチャンとダニーがそれに当たるのではないかなと思っている
クリスチャンは彼らの子孫繁栄の為の男神のような存在として、ダニーは女王という名の象徴として必要な存在だったのではなかろうか
他の来訪者も貴重な生贄として重要な存在であったし、だから皆追い返される事無くもてなされていたのだと思う

そして象徴、多くの場面で使われている鮮やかな花々は、厳しい冬を越えて芽吹いた命であり、また育みの季節を象徴する祝福のモチーフなのではないかと考察している
生贄に施された装飾、先祖の木に用を足してしまったマークは道化のような被り物をしていたので愚者という事か、あとは理由付けは定かではないものの、ジョシュは土に埋められていたところから考えるに作物、鶏小屋に吊るされていたサイモンは鳥、コニーは水に濡れていたように見えたので水?、熊の皮を着せられたクリスチャンは捕食者、最初に身を投げて人生を終えた老いた男女は、鹿と思われる角を付けていたのと木や枝で飾られていたので、それぞれ被捕食者と樹木に見立てられていたのではないかと思う
コミューンから生贄として志願した2人はそのまま人間としての供物の役割がある為、特に象徴めいたものは身につけていなかったのではないかと
愚者はさておき全てが自然に根ざしたもので象られている辺り、やはり自然信仰の色が強いのではないかという印象を受けた

個人的には主人公らに対する思いや考えはひとつも湧かず、ただひたすら私の民俗学的好奇心を擽られて初めてのミッドサマーは幕を閉じた
ただ建物に描かれた絵などはまだじっくり見てみる価値はあるだろうし、暇を見つけては何度も確認して考察を深めていきたいと思う
と同時に、余談だが民俗学的な知識をもう少し深めないといけないなとも反省…語るための言葉が拙すぎる
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