ShinMakita

ペイン・アンド・グローリーのShinMakitaのレビュー・感想・評価

1.9
スペイン、マドリード。32年前に傑作「風味」を撮り、名監督と言われたサルバドール・マヨ。しかし四年前に母が他界、そして二年前に背骨の手術をしてからというもの、全身疼痛と鬱と不眠という三重苦で、完全な隠遁生活を送るようになっていた。リハビリとして自伝的な内容の戯曲を書いたりしているが、それを発表したり映画化したりという気力はない。そんな彼の元に、シネマテークからオファーがくる。「風味」のリストア版を上映するので、ぜひ主演俳優アルベルトと一緒に登壇してほしいというのだ。撮影当時、ヘロインをやっていて指示に従わなかったアルベルトと大喧嘩し、絶交していたサルバドールだったが、リストア版を見直すとその演技の素晴らしさに気づかされた。そこで意を決して、アルベルトに和解を申し込むのだが…


「ペイン・アンド・グローリー」

以下、ネタバレアンドグローリー

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ペドロ・アルモドバル版の「8 1/2」であり「ニューシネマパラダイス」とも言える作品。ノスタルジーと中年クライシスの映画です。

ジャンル映画以外のバンデラス、初体験でした。絶妙な枯れ具合が良かったなぁ。アルベルトとの再会を機に麻薬の悪癖に溺れていくサルバドールなんだけど、過去からやってくるヒト・物・記憶の連打に刺激を受けて立ち直るサマがちょっと感動的でした。多分にアルモドバルやバンデラスの自伝的要素もあるんだろうけど、スペイン映画に明るくないのでそのあたりは読み込めず。でも、おっさんにとっては普遍的な話なんで、行き詰まっている40-50代には刺さる映画ですね。
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