ShinMakita

地下水道のShinMakitaのレビュー・感想・評価

地下水道(1956年製作の映画)
-
☆俺基準スコア:2.9
☆Filmarks基準スコア:3.9




1944年。ワルシャワ蜂起から1ヶ月半。ザドラ隊長率いるレジスタンス軍中隊が、空爆で廃墟と化した町へ移動した。「赤い館」に陣取り態勢を整える彼らだったが、さらなるドイツ軍の攻撃で多数の死者を出し、若く血気盛んな小隊長コラブも重傷を負ってしまう。退路も絶たれ、もはや館で徹底抗戦か…苦悩するザドラの元に司令部から命令が下る。町の地下水道を通って中央区へ向かえというのだ。敵の足元で狭く暗い水道を静かに進む一行だったが、ドイツ軍が地下にガスを撒き…



「地下水道」


アンジェイ・ワイダの代表作にして、戦争群像劇の傑作。ザドラの本隊、隊とはぐれた副官モンドルイ・少女ハリンカ・音楽家ミハイルの3人、コラブと恋人デイジー…という3組を交互に見せる構成。迷路のような地下水道の中で、絶望と狂気と愛が描かれていきます。当然映画の結末は水道の「出口」となるわけだけど、三者三様の出口が用意されていて、観客を3回悲しい気分にさせるというところが映画的、なんならエンタメ的と言ってもいいのかなと思います。

キャストの中では、ポーランド映画に全く馴染みがなくても誰もが絶対見覚えあるのがミハイル役のウラデク・シェイバル。目がギョロついている個性的な顔ですけど、「ロシアより愛をこめて」のチェス名人といえばピンとくるはず。今回の役は、「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディを彷彿とさせましたな。
ShinMakita

ShinMakita