奏音

82年生まれ、キム・ジヨンの奏音のネタバレレビュー・内容・結末

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「なんでこんなことになってしまったの」、本当にそうだよな………

自分が望む道を行こうとしているだけなのに、どうして阻害されなきゃいけないの?
女だから?母だから?専業主婦を持つ男だから?

ほんの少し相手の地獄と苦しみを想像するだけなのに、どうしてみんな勝手なことばかり言うの?

どうして、新しい時代を生きようとしてるのに、それが良いってみんな言うのに、世の中はまだこんなに地獄なの?

日本と韓国で違いはあるにせよ、根本にあるジェンダーについての社会的圧力や世間の目は同じだろうと思うと、原作を読んだ時よりも社会に対する苛立ちややるせ無さを強く感じた。
原作よりも夫の感情がしっかり描かれているのもまた良い所で、新しい世の中で、より良く平等に生きるために行動するこの夫婦が幸せに生きられる社会になって欲しいし、そうしていきたい、と思って終われる。(まあここは日本ですが)
そういう意味では原作よりも希望的なラストで助かった。

あくまで主観、肌感だけど、日本はもしかしたら上世代の男女差別的価値観はここまで強く主張されないかもしれない。クソみたいな男性至上主義に知らない間に染まってて抜け出せなくてクソみたいな発言をしてくる輩は沢山いるが、ジヨンのお姉さんみたいに「何言ってんスか?」って返せる空気感はあると思う。(私の周りだけかもしれないが…)
ただ、夫婦2人で子供を育てられる環境や制度は日本はより整ってないし、あっても活用できるほど収入は高くないとかそんな空気じゃないとかはあるだろうと思うと、全くもってひとごとじゃない。本当に、どうしてこうなってしまったのか、そんな人がたくさんいるんだろうな。

……とここまで書いたけど結局僕自身もこのヘルジャパンを作ってる1人になっているかもしれないし、少なくともこの先何年もこのヘルジャパンを生きる人間なんだよね。恐ろしいことに。
奏音

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