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ラストブラックマン・イン・サンフランシスコのMALPASOのレビュー・感想・評価

3.8
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』

A24作品

サンフランシスコの街を歩くと、特徴的な素敵な建物をたくさん目にする。観光ツアーのスポットにもなっていて、アラモ・スクエア・パークのすぐそばに並んで建つ家が特に有名。ビクトリアン・ハウスという建物。色とりどりの家並みは「ペインテッド・レイディーズ」と呼ばれている。ヴィクトリア王朝を家々は、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて建てられ、100年以上経った今も、リノベーションを繰り返しながら、誰かが住み続けている。
映画を観ていても、舞台がロサンゼルス?サンフランシスコ?と考えていると、特徴のある窓に簾が掛かっていたりして、シスコが舞台だと気づく。

映画の舞台となる建物があるのは、フィルモア地区。あのフィルモア・ウエストのあった場所で、かつてはロックのメッカ。最初に行われた商業的な公演は、劇中でも流れる1966年のジェファーソン・エアプレイ。歩いていると少し危険な匂いのする街だった。

劇中に全裸のおっさんバス停に座っているというシーンがあるが、自由の街だけあって、変態さんも多くて、年に一度街の一画を閉鎖して、ポルノのお祭りがあって変態さんが大集合する。偶然この祭りに出くわしたことがあって、全裸の人々に驚愕した。
図書館、書店、音楽・・・シスコは楽しい街だけど、近年IT企業などの進出で、家賃が高騰し、昔からの商店や住民が出て行かなければいけない状況になっている。場所によっては、物件が平均1億以上、平均的な家賃も月約40万円以上という異常な状況。住む家を失う国内難民を次々と産んでいる。

監督のジョー・タルボットと主演のジミー・フェイルズが、Kickstarterで資金を集め実現したインディーズな作品。

家と人。かつての栄光。
1969年の名作『泳ぐ人』を思い出す雰囲気のいい映画だった。
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